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雨。


 神話で語られる様な世界への変貌


 雨だ。雨が降っている。天泣てんきゅうと呼ばれる雨。雲が無いのに細かい雨が降っている。天が泣いている様な雨である。天照雨さばえとも呼ばれる雨だ。晴天であるに関わらず降っている雨。そんな雨が降っている時には、二度とは逢えない貴方の事を思い出し、探してしまう。


 貴方は天国で幸せにしているだろうか?


 貴方は感情表現が苦手だった。嬉しい時に笑えず、悲しい時に涙を流せない。そんな不器用な貴方だった。ソレでも僕は確かに貴方を愛していたし、貴方も僕を愛してくれた。


 些細な幸せは続くのだと思っていた。思ってはいたのだけれど、其れは幻想だったのだと思い知らされる事になる。


 始まりは、隕石だったと記憶している。直径十センチ程の隕石が東京へと落下した。隕石落下による直接的な被害は無かったのだが、問題は、その隕石の内部に存在していた未知のウイルスにあった。後に【KARMA】と名付けられたそのウィルスは世界を崩壊させてしまったのである。


 ウイルスの感染症状。大きく分けると四種類に分類されている。


 ①人間の形状を失い、内に秘めていた欲望を具現化した様な怪物へと変異する症状。【欲獣化よくじゅうか


 ②その人間が抱えている心の闇が異能力として発現する症状。【咎人化とがびとか


 ③強大な異能力に耐えられず、眠りから目覚める事の無い植物状態になる症状。【獄人化ごくじんか


 ④無気力となり生きながらにして死んでいるかの様な症状。【虚人化うつびとか


 【KARMA】は人の心の闇に反応した。だからこそ世界中に蔓延する迄には、然程さほど時間は要さなかった。そして、【KARMA】は人類の機能を奪い去ってしまったのである。


 法も秩序も道徳も、何の意味も成さず、まるで神話で語られる様な異形の化物や兵器が跋扈ばっこする世界へと変貌していったのだ。


 

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