裏切り
∼前回のあらすじ∼
皇帝を踏みつけました
「あ~動き辛い!」
落ちていた剣を拾い上げ、侯爵へ、剣先を向ける、姉。
「これは…魔法を封じる魔道具ですかね?」
「魔道具が効いていない…いや、強化魔法が無くとも、この速さというわけか」
独り言を、一頻りに吐き出した後、口角を少し上げる、侯爵。
「化物め…」
「私、鍛えてますので!」
優しい微笑みで、足元に敷いた皇帝を、再び踏みつける。
「…やむを得ん。取り囲み、持久戦に持ち込め」
後ろに並び立つ私兵に、そっと、指示を出す。
ぞろぞろと動き出す、兵士。
「来い!相手になってやる…」
睨み目を飛ばし、握りしめる柄に力を籠める。
・・・カチッ。
空に広がる魔法の結界が消えて行く。
「・・・何の真似だ?勇者」
傍らに寝転がる兵士と、魔道具に肘掛ける勇者に、視線を向ける。
「すみません。僕は、雇われの身なので…」
愛想笑いを見せ、地中へと消える、勇者。
「…取った!」
光魔法で距離を詰め、魔道具に気を取られている侯爵の首を狙う。
しかし、間に入り、剣を振り出して来た老人に、薙ぎ飛ばされてしまった。
「ちっ!まだ、生きてたか…じじい」
着地と同時に、盾に使った剣が、折れる。
「…あれと、互角に渡り合えるのか?」
「いえ。私は、あなたの命を守るだけですので…」
目線を合わせ、侯爵を睨む。
「そうか…撤退する。後は、任せた」
兵士隊長の肩に手を置き、去って行く、侯爵。
「はい・・・任せた?」
歩き去る侯爵を見届けた後、残った兵士を確認する。
「一人、二人、三、四…」
自分を指差し…
「五人…か…」
一度、大きく深呼吸をして、胸を張る。
「その娘を置いて行けば、見逃してやる!」
「・・・は⁈」
捨て駒にされたこと、気づいてない?
周りの兵士も、流石に引いてるよ
馬鹿なのか…忠実なのか…
「よし!殺るか」
先程、攻撃を食らった事で、やる気に満ちた表情を見せている。
「待ってください、お姉様!」
「なんだ?」
「戦闘で、屋敷が脆くなっているので、出来るだけ弱めの魔法/
「死ね~!」
忠告を無視して、光の球体を連発し出す。
着弾の振動で、揺れる足元。
「あ~あ」
ピシ・・・ガラガラガラ
どこからともなく、屋敷の崩れる音が鳴り出す。
ガシャン。
「ふぅ~。危なかったな~」
義母と皇帝を抱える私の服を掴み、光魔法で崩壊を抜け出した、姉。
「わざわざ、壊さなくても…」
両手に持った二人を寝かせ、煤を掃う。
「まとめて殺るには、この方法が一番早いから…あれ?」
辺りを見回し、何かを探す。
「どうしました?」
「誰か…足りなくない?」
全身の血の気が引く、王女。




