煽りが呼ぶ悲劇
∼前回のあらすじ∼
侯爵が現れました
跡形も無く消しさった皇帝の魔法に、恐れ戦く兵士達。
「化物が…」
怒りと不満の籠った表情を浮かべ、皇帝に冷酷な視線を向ける、侯爵。
「笑止!力量の差を、分かっていながら、帝国に、戦争を望むと?」
視線の意図を察し、踏ん反り返り、余裕を見せつける。
「死んだ兵士の数は?」
「私が連れて来た兵の、半分ほどが…」
冷静な口調の侯爵から、怒りを感じ取った騎士隊長が、ぼそぼそと答える。
「王国の兵士だけでしたら、計画に支障はありません」
「おい。例の物の準備を…」
侯爵の後ろで、私兵たちが、大きな魔道具を動かし始めた。
腸の煮えくり返った皇帝が、侯爵に向かい、歩き出す。
「また”待て”と…冗談も大概にしろ!」
「あなたが、私の妹達に、危害を加えると言うのなら…」
妹達を腕で庇い、ゆっくりと立ち上がる、お姉様。
「ちょ、ちょっと!違いますよ、お姉様。あれは、私達ではなく/
積もり積もった怒りが、忘れさられていた過去を、思い出させる。
「そういえば、貴様には、まだ、借りを返していなかったな…殺るか?」
「うん?子犬が何か吠えたかしら?」
皇帝を見下し、耳に手を当て、挑発する。
「お、お姉様⁈まさか…」
「戯け!」
撃ち合いを始めた二人の流れ魔法が、王女の頬を掠める。
「あ~あ。終わった…」
想定し得る、最悪の状況になった
私達は、何もしてないのに!(犬扱い・暴言・傍観)
いつの間にか、皇帝は、怒りの矛先を、私達に替え、お姉様の性格も、元に戻ってしまった。
これ以上、悪くなることは無いと、思いたいけど…
「死ね!」
「死ぬのは、貴様の方だ!
周囲が、風圧で消し飛ばされる程の、魔法を撃とうとする、二人。
「…魔道具を起動しろ」
二人の様子を伺う侯爵が、私兵に合図を送る。
ピカッ!
光輝いた魔道具から、ドーム状の魔力が、放出される。
徐々に広がる魔力の結界は、周囲のものを通過し、屋敷全体を取り囲んだ。
「発動…」
輝きを消した魔道具が、結界内を暗転させ、閃光を放つ。
視界が戻ると、皇帝とお姉様の魔法が、消えていた。
「よくやった!」
一瞬の脚力で距離を詰め、皇帝の鳩尾を、膝打ちする。
「面倒な物を・・・」
弱る意識の中、侯爵の方向を睨み付け、倒れ込む。
拳を握った片腕を上げ、皇帝を踏みつけ、あの日の屈辱を、妹達に示した。




