誰?
∼前回のあらすじ∼
偽勇者が現れました
気絶した偽勇者を縛り上げ、城へ帰る方法を話し合う、三人。
「無視をするな!」
隊長らしき兵士が、声を荒げた。
瓦礫の山に並び立つ兵士たちに、顔を向ける。
「誰よ、貴方たち?」
「聞いて驚け!俺たちは、侯爵の私兵/
「でしょうね。さっ、帰りましょう…」
兵士との会話を切り上げ、帰路の話しを始める、三人。
「・・・話を聞け!」
怒りを露にする隊長を、周りの兵士たちが宥める。
「ま、まあいい。冷静になるんだ、俺」
「この仕事を終わらせれば、俺たちは、正式な騎士になるんだ…よし!」
背を向ける三人に、不敵な笑みを向ける。
「では、そこを退いてくださる?」
帰路の話を終えた私は、取り囲む兵士に散るよう、手で示す。
「取引だ!」
「はい?」
周りを取り囲む兵士が、進もうとする三人に、剣を向ける。
「冗談よね?こっちには、〖光の破壊者〗が居るのよ」
兵士に圧を与え、一人で、余裕を見せる隊長の顔を睨む。
「抵抗してもいいが、俺たちは、王命でここへ来ている」
「抵抗した未来がどうなるか、想像できるな?」
初めから負けることも、侯爵の計画通りなのね。
王命を受けた兵士と争えば、我々を、反逆者に仕立てることも出来る。
でも、私達よりも早く、城へ戻らないと、計画は成り立たないはず。
この場の何処かに、報告者が潜んでいる?
「…あなた達の狙いは、何よ?」
「その言葉を待っていた!いや~実のところ、死と出世を、天秤にかけ/
「早く、要求を言いなさいよ…」
「・・・こちらの要求は、その娘を、こちらに渡す事だ」
全員の視線が、指差された髭面の娘に向く。
「はい。これで良い?」
〖光の破壊者〗の背中を押し、一歩、前に出す。
「うん。交渉成立…って、馬鹿にしているのか!」
剣を抜き、抑えていた怒りを爆発させる。
「だってあなた、渡したら、命を奪うつもりでしょ?」
「勿論!」
「…正直に答えたら、渡すとでも思った?」
王女が隊長を睨み、兵士に緊張が走る。
「残念ながら、交渉決裂だな…」
一歩、一歩、様子を伺う様に、取り囲む兵士が距離を詰める。
「待ちなさい!」
縛り上げた偽勇者を、強引に手繰り寄せる。
「こちらには、まだ人質が有るのよ」
人質の首元に、瓦礫を押し付け、兵士に静止を促す。
「ふふふ、ははは」
重い空気の中、突然、笑い出す、隊長。
「残念ながら、その人質は俺たちと何の関わりも無い!」
兵士の戸惑いを晴らすよう、はっきりと言い切る。
「え、噓・・・これには、人質の価値すら無いのね」
抱きかかえた偽勇者を、地面に落とす。
「いあい!」
塞がれた口から、声が漏れる。
「あ、目覚めた…」
「あんあ、おおおうおうあ?」
体を捻じり、暴れ出す、偽勇者。
「おい!おおおうおおえ!」
「・・・何を言っているか分からないけど、少し黙っていてくださいます?」
偽勇者の首元に近づけた瓦礫が、誤って、口の拘束を解く。
「ぷは。た、助けてくれ!」
「・・・」
話しかけてくる偽勇者から、目線を逸らす。
「残念ながら、あなたには、人質の価値すら無いようですよ」
「いや、僕がいないと、計画が破綻するでしょ!」
「計画が破綻?へ~あなたが、伏兵でしたか…」
拘束した偽勇者を踏みつけ、不敵な笑みを浮かべた。




