記憶にございません
∼前回のあらすじ∼
対立しました
争いを止め、見上げた柱には、王女の護衛である偽勇者が立っていた。
「あ~居たんですか…」
存在自体、忘れていた。
あ!お姉様と一緒に、捕まっていたのか~
釈放されたなら、私を助けに来れば良いのに!
今まで何処で何をしていたのやら…護衛失格ですね。
「今、僕の事、馬鹿にしましたね?」
「ええ。しましたよ~」
「否定しろよ…」
「まあ、良いでしょう。そんな口が利けるのも、今だけです」
一度、冷静になり、偉そうな態度を見せる。
「隠れていた件は責めないので、さっさと、魔法で城まで運んでくださる?」
「僕の魔法が、裸になる事まで、忘れたんですかね!」
「あと、僕は、隠れて居ないんですけど…」
湧き上がる怒りを抑え、呆れたため息を溢す。
「あ~では、お姉様の魔法で、帰りましょうか」
話を無視して、お姉様に近寄る。
「それは、不可能だ」
「貴方たち三人には、ここで死んで貰います」
出来る限りの悪役顔に変え、剣を抜く。
「ふざけたことを…貴方は、私の護衛でしょ?まだ、根に持っているんですか」
「アースニードル」
王女目掛けて飛んで来た土の槍が、顔を掠める。
「これでもまだ、冗談だとお思いですか」
「あんた…笑えないわよ」
互いに睨み合い、緊張の空気が漂う。
「危ねぇだろ!」
突然、怒りのお姉様が、崩れ掛けの柱を叩く。
「遠くから様子は見ていましたが、大分、弱くなっていますね?」
「今の貴方様になら、勝てる!」
戦う前から勝ち誇る護衛の足場に、亀裂が走る。
バリバリバリ、ミシ!
「あら?」
音が鳴ったと同時に、ひび割れた柱が、粉々に崩れ落ちた。
「あ~あ。お姉様が、元に戻ちゃった…」
崩れる柱を見て、歓喜する者と、絶望する者。
柱の残骸を避け、倒れた護衛に近づく、王女。
「お~い。生きてます?」
「・・・」
頭を打ち気絶した様で、返事が無い。
「何がしたかったのかしら…」
「お二人さん・・・」
背後から聞こえた声に、戦慄が走る
「お、お姉様・・・」
お叱りを受ける覚悟を決め、後ろを振り返った。
「怪我はない?大丈夫?」
槍が掠めた顔を触り、優しく話し掛けてくる。
「ふ~戻っていなかったのね」
姉の様子に安堵し、一息つく。
「全員、動くな!」
後ろの瓦礫の山から、見たことの無い兵士が、兵を引き連れ現れた。




