魔法の化物
∼前回のあらすじ∼
怒らせました
時を遡り~
「ブラックボックス…」
闇魔法を使い、箱から脱出する。
「さあ。ゆっくりと、訪れる死を待ちましょうか…」
「やっと、一人になったな!」
息を吐き、ゆっくりと立ち上がる、皇帝。
「これは、これは。まだ、意識がありましたか…?」
「なぜ、立ち上がれるのですか」
腕を上げ、背伸びをする。
「なぜ?空気中の酸素を集めて、吸い込んだだけだが!」
「この箱には、ほとんど酸素が残っていないはずです」
薄くなった空気に、立ち眩みを起こす。
「あるぞ!ここにな」
右手の掌に、魔法で作られた空気の球体を乗せ、掲げる。
「これが、酸素だ」
「ふっ馬鹿な。空気中から酸素だけを取り出した?あり得ない!」
「水魔法が使えれば、誰だって出来ることだ!」
左手で、水魔法を操って見せる。
「化物目!」
息が苦しくなり、立つことも儘ならない。
「止めを刺すまでもない…」
皇帝は、男を無視して、壁に近づく。
魔法の壁を確認し、左手で壁を殴る。
「ははは、無駄だ!その壁は、アンチメタルで作られている」
「帝国の秘宝が、余を殺すか。面白い!」
壁の破壊を諦めた皇帝は、その場に座り込む。
「さぁ。私と共に死にましょう」
「賭けよう!この壁は、壊れる」
「はい?アンチメタルを破壊できると?」
「待つ!」
「・・・いいでしょう。私は、死を待ちます」
「は・は・は・は!」
王女の言葉を、否定と捉えたお姉様は、魔法の威力を上げる。
恐い、恐い、恐い。
私、何か怒らせるような事、言った?
「もう、何も言いません…」
再び、威力が上がる。
噓!どうして…
無視したと、思われたの?
「お、お姉様。頑張ってください」
ピキピキピキ。
魔法の威力が上がり、壁のひびが大きくなる。
駄目だ…
何を言っても、怒らせてしまう。
後で、弁解しよう…出来るかな?
パリンッ!
薄く伸ばされた鉱石の板に、穴が開く。
「開いた!あとは・・・」
「フラッシュバースト」
板の裏に見える、地魔法で作られた壁に、魔法を放つ。
「壊れたぞ…」
「お姉様!」
魔力切れを起こし、気を失った姉を、倒れない様に支える。
「お疲れ様でした、お姉様…」
「中の様子は?」
中の様子が気になった小さな男は、開いた穴を覗き込む。
奥から迫る人影に驚き、壁から後退る。
「何!誰が居たの?」
箱の中から人が、壁の穴を潜り出てきた。
「遅い!」




