明確な違い
∼前回のあらすじ∼
屋敷に入りました
「エアーレイン」
「ウィンドアロー」
次々と、放たれる風魔法を、光の速さで避けながら直進してくる。
「なぜだ!なぜ、当たらない!」
「コントロールが、正確すぎるんだよ!」
目の前まで迫り、蹴りの態勢を執る。
「そんな事ぐらい、読めている」
二人の上空に漂う、光の球から、レーザーが照射されていた。
蹴りよりも早く、レーザーが体を貫く。
しかし、貫かれたはずの体は、残像となり消えてしまう。
「はあ⁈どこへ消え/
後ろからの強烈な蹴りが、顔面を襲い脳を揺らす。
「あ~はずしたか~本当は、首の骨を折るつもりだったんだがな」
「ど、ど、どうやって私の魔法を、よ、避けた!」
「”勘”だよ。勘。光魔法の攻撃パターンは、大体同じだからな」
「勘だと?人間の反応速度を超えている…」
「まだ喋れるのか?光魔法に引っ張られ、移動先がずれたとはいえ、蹴りは当たったんだがな」
意識が朦朧とし、立ち上がれない相手に、ゆっくりと近づく。
「ま、待て…」
「待てと言われて、待つやつが、何処にいる?」
魔法を纏った拳を、腹に勢いよく落とす。
「安心しろ。みねうちだ」
抵抗すること無く、完全に気を失った。
ドン。ダン、ドン。
少し離れた場所から、戦闘音が聞こえてくる。
「まだ、殺っているのか…よし、加勢に行くか」
気絶し倒れた解放軍の足首を掴み、悪い笑顔で音のする方へ向かった。
「お義母様。離れないでください」
「離れたら死ぬわよ!」
なぜか、崩れかけの屋敷で、鉄骨の上を渡る二人。
「おい。こっちには、居なかったぞ」
「知ってるよ!ずっと、俺は、お前の横を歩いてただろ」
鉄骨下の廊下で揉める、大きな男と小さな男。
「もう、諦めたらどうだ?」
「そんな問いかけで出て来たら、苦労しないよ」
「いや、捜す方を」
「俺たちが、諦める方ね!」
脚の折れた椅子に腰掛ける、小さな男。
「俺の椅子は?」
「反乱軍も、俺たち以外、全滅したみたいだし、この部隊も、そろそろ潮時かな~」
「おい。俺の椅子…」
「故郷に帰って静かに暮らすか~」
空を見上げた小さな男と目が合う。
「あ・・・」
「どうも~」
「あーー居た!」
「椅子!」
怒った大きな男が飛び跳ねた衝撃で、鉄骨が揺れる。
バキッ、バキバキバキ!
鉄骨を支える柱に亀裂の入り、鉄骨と共に、二人は落下した。
「きゃーー」
「ウィンド」
風魔法を使い落下速度を落とし、優雅に着地する。
その風魔法に吹き飛ばされた鉄骨が、男たち目がけて落ちてきた。
「うわぁぁ」
「ふん!」
魔力を纏った大きな男が、鉄骨を受け止める。
しかし、落ちてきた瓦礫が、頭に当たり気を失う。
「す、すまん」
小さい男に覆い被さる様に、大きな男が倒れる。
「お、重い…どけ!」
「お約束に助けられましたわね」
「お約束?」
「何でもありません。起き上がる前に、ここを離れましょう」
「あっちから、誰かが戦う音が聞こえてきますね」
「私達を置いて行った皇帝、或いは…」
「大丈夫です!行きましょう」
王女の手を繋ぎ、壊れかけの屋敷を進む。




