4 裏切り
読んで戴けたら嬉しいです。*.゜+ヽ(○・▽・○)ノ゛ +.゜*
じんわりと額に汗が滲んできた。
和生はバスタブから上がって温めのシャワーを浴び始める。
横目から鏡が見える。
鏡には和生の動作が映っていた。
違和感を感じた。
鏡に映る和生の動きが何かおかしい。
シャワーヘッドを握ったまま屈んで鏡を覗き込む。
和生の顔が映る。
その顔が今の和生の心情を映すようにみるみる醜く歪む。
そして言った。
「愚か者
オレは知ってる
全部見ていたんだから」
和生は驚き、その場にしりもちをついた。
床についた手にぬるっと嫌な感触が伝わる。
まるで何年も水にさらされた石に生える藻の感触。
淀んだ水の濃い匂いが嗅覚を刺激する。
『ここから出なければ!』
本能的にそう思った。
煌々とバスルームを照らす光さえ不気味に感じる。
焦っているのにスローモーションのように身体はゆっくりと後退し、背中が壁にぶつかった。
鏡の中の和生はそのままこちらを見て嘲笑っている。
目の端にバスタブの水面から黒いものが動くのが見えた。
恐怖に全身ががたがたと震え、見たくも無いのに視線はその黒い物へと固定される。
湯船から黒い水が湧き上がるように盛り上がり、瞬く間にバスタブのお湯はどす黒く変色した。
『何が..........、
どうして?』
和生の思考は混乱を極める。
『何故オレがこんな目に?
誰がこんな手の込んだ悪戯を?
悪戯にしては手が込み過ぎている........』
黒いバスタブのお湯の表面に目が見える。
いや、水面の間に間に無数の目がカッと見開き和生を睨んでいた。
その目と視線が合った。
身の毛もよだつ恐怖が全身の熱を急激に冷やして行く。
握り締めていたシャワーヘッドの水が黒く染まり髪の毛と供に床へと放出される。
和生は条件反射で穢い物でも放るようにシャワーヘッドを放った。
ここから逃れたいと思うのに身体の自由が奪われ、見たくないと思っているのに恐怖で目を閉じる事さえできない。
シャワーから放出される髪の毛混じりの黒い水は床に溜まり、まるで意思でもあるようにうねうねと和生に近付き和生の足首に絡み付く。
髪の毛は信じられない力で和生を引き摺り、出入り口から遠ざける。
悲鳴を上げ、引き摺られながら足首に絡む髪の毛をほどこうと手で毟ろうとするが、自由を奪われている和生に成す術は無かった。
シャワーヘッドから次々と放出される髪の毛は和生の身体に群がり太腿を、次には腰を、次に腹を、胸を、首をと、ぬるぬるとした気持ちの悪い感触を残しながらくるんで行く。
和生は悲鳴を上げる。
髪の毛はその声にお構い無く和生の身体を這い回り、悲鳴を上げている和生の口の中へと侵入し、鼻からも侵入してきた。
髪の毛の陰湿なカビの臭いが脳を溶かしてしまいそうだ。
苦しい。
呼吸を遮断された和生の意識は次第に遠退き途切れてしまった。
川辺に辿り着いた瑶羅の遺体が人目に晒され発見された。
警察署に収容された瑶羅の遺体は、水分を吸収して膨み一見しただけでは誰なのか解らないほど見るも無残に変貌していた。
瑶羅の自慢だった濡れ羽色の長い髪も泥水にまみれべとべとに汚れて見る影も無い。
身元が解る物を何も所持していなかったので、警察では身元の判明を急いだ。
瑶羅が初めて和生を認識したのは、毎年恒例に行われる院長久世俊介のバースデイパーティーだった。
和生は本人の意思に関わらず、その美しい風貌で目を惹いた。
父俊介に紹介され和生と挨拶を交わした瑶羅は和生に釘付けになった。
何処か憂いを帯びた伏せ目がちな大きな瞳や、少し女性的にも見えるフェイスライン、キレイに真っ直ぐ伸びた鼻筋といつも潤んだように見える艶やかなピンク色の口唇。
その美しさに全く気付いていない立ち振舞いは、控えめで繊細さを感じる。
総てが瑶羅にとってパーフェクトだった。
年端も行かない頃から瑶羅の現実は、瑶羅を中心に世界が回り、瑶羅の望みに従順な人々に囲まれていた。
そうした環境は瑶羅の意味の無い自尊心だけを育てて行った。
和生へのプロポーズを断られた瑶羅は最終的には和生も自分を選ぶだろう事を知っていた。
瑶羅の現実はそうでなければならなかった。
そして和生は付き合っていた女とは手を切り、瑶羅を選んだ。
瑶羅は自分が倖せなら和生も倖せに違いないと、信じて疑わなかった。
だが、そうでは無い。
その日、瑶羅はいつも通りテレビを観ながらお茶の時間を楽しんでいた処に非通知の電話が掛かってくる。
「久世瑶羅さんですね」
加工された音声に瑶羅は眉をしかめ答える。
「そうです」
「久世和生はずっとあなたを裏切ってきた
あの女とは別れてはいない」
その言葉を聞き瑶羅は急激に感情が高まり勢い良く立ち上がったので、テーブルの紅茶がひっくり返り零れた。
「あんた、誰よ?! 」
瑶羅は半ば怒鳴るように言う。
電話はプツリと切れた。
信じていた倖せに大きな亀裂が入る。
怒りと哀しみが入り交じるこの感情は瑶羅の今迄の人生の中で初めて味わう感情だった。
零れた紅茶は少しずつ面積を広げ、やがてテーブルの端に到達して床へと堕ちていく。
瑶羅はテーブルに横たわる紅茶のカップを振り飛ばし、濡れるのも構わず両手でテーブルを叩き付けた。
それが真実なら、それは瑶羅にとって耐え難い現実となる。
いつも瑶羅を気遣う和生が裏切っていた。
信じられない、否信じたくない。
瑶羅は心から和生を愛していた。
だからこそ真実なら許せない。
感情に食い潰されそうになる。
ソファに座り爪を噛みながら和生の帰りを待っていた瑶羅はそれでも少し冷静さを取り戻し、電話してきたそいつが嘘を言っているのかもしれない。
あらゆるパターンを考え出しては和生を信じようとした。
和生がいつものように病院から戻るなり、瑶羅は言った。
「あの女と続いてるって本当なの?! 」
笑いながら否定してくれると信じていた瑶羅だったが、一瞬和生の顔が醜く歪み、それが真実であることを悟るしかなかった。
何よりも瑶羅を尊重してきた和生が嘘をつき続け瑶羅を騙し続けてきた。
その現実は瑶羅の自尊心を酷く傷つけた。
読んで戴き有り難うございます。゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
今日は道北も熱帯夜です。
暑ーーーい。
私もう何十年も美少年愛好家やってるんですよ。
と言っても美少年美青年が出てる映画のDVD集めるくらいの事しかしてないんですけど。
後写真集が出てたら買うみたいな。
近頃はジャニーズにはまってます。
山田涼介くんケンティー、亀梨くんは独立しちゃったけど、見ると30代の人多い。
みんな凄くいい表情してますよね。
山田涼介くんの写真集と岩瀬洋二くんの写真集最近買いました。
私にとって男の人は鑑賞するものなんですね。
そんな私、たまにやっちゃうんですよね。
置き薬屋さんの販売員に「ベビーフェイスで可愛いですよ」とか言っちゃって
引かれるんです。
こりゃ、あかんやろ❗
気を付けないとなあ。(*´Д`*)




