03話 冒険者ギルドにて
「…▲□▲■」
「★■▲▲?」
「、、、▲■!!」
突然入ってきたアイに、周囲の人間達の視線は集まっていた。
そんな中、奥に居た一際図体のデカい男が此方へ歩いてきた。
「…おい、何故此処へ戻ってきた」
「……本当は戻るつもりなんて無かった」
訳ありなのか、二人の間に険悪なムードが流れていた。
「'白銀"、まさかお前にまた会うことになるとはな、長生きもするもんだ」
「……その呼び方辞めて。嫌いなの知ってるでしょ」
「敢えてだよ、分かるだろ」
白銀?
確かにアイの髪色は雪のように美しい色をしている。
「おい白銀の連れ、お前もこっちに来い」
「此処じゃ話せないからな」
気怠いが行くしか無いだろう。
そうして、程無くして待合室のような場所へ辿り着く。
「それで、何で戻ってきた?」
「……理由は二つ、一つは彼女と旅をすることになったから。」
やや申し訳なさを感じる。
恐らく一人なら十分な金はある。
だが、私という存在のせいで働かなくてはいけなくなったのだろう。
「……それで、もう一つの理由。」
「……今の状況がどうなったか気になったから。」
「あぁ、今は闇側が優勢になりつつある。それもこれも抑止力だったお前らが居なくなったからだけどな」
抑止力?何の話をしているのだろうか。
まぁ、気にしても仕方ない。
どうせ分からない。
今度アイに聞いてみようか。
「……それで今の光側と闇側は何人ずつ?」
「俺が確認できるだけで光側は2人、闇側は4人」
「どっちにも属してないのが1人。目の前に居る奴のことだが」
「……そっか。分かった。」
一通り話が済んだのか、急にアイが立ち上がるとそのまま来た道を戻ろうとする。
「おい待て、まだ必要な事があるだろ」
「カード作りに来たんだろ?そいつの分の」
「……そうだった。忘れてた」
そう言うと、再度椅子へ座り直す。
「お前の冒険者カードを用意してやる、少し待っとけ」
何が何だか分からないが、取り敢えず待っておくことにしよう。
待っている間、アイと軽く談笑をしていたが普段と変わらない様子で安心した。
さっきまでのアイは威圧的というべきか、普段とは違う様子だった。
程無くして、男が戻ってきた。
「これがお前の冒険者カードだ。無くすなよ」
ランクはF。
きっと仕事をこなして行けばランクが上がっていくに違いない。
「冒険者ギルドは他の町にもある。このカードは何処の町でも使えるからもうこの町には来んなよ」
「おい、白銀の連れ。大丈夫だとは思うが、そいつは絶対に死なすな。」
男の表情からは先程と打って変わって、複雑そうな表情をしていた。
恐らくアイの方が強いだろうに、何を言っているのだろう。
・・・
そうして、冒険者ギルドを出て宿屋へと向かう。
今から部屋が取れるのか不安だったが、難なく泊まれる事となった。
「……今日は私の用事に付き合ってくれてありがとう」
「良いよ良いよ、まぁ全然何の話か分からなかったけどね…」
あれ?何だか眠くなってきた。
少し疲れてしまったのだろうか。
「ごめん、眠くなってきた。」
「……分かった、おやすみ。」
・・・
「……ちゃんと寝てるね」
予め夕食に睡眠薬を入れておいた。
本来ならもっと早く効能が作用するはずなのに。
(……さて、着いた。)
部屋を出て数分。
アイは再び、冒険者ギルドを訪れていた。
「……来たよ。グラン。」
周囲の奴らが下衆な目を向ける。
昼間とは違い夜のギルドには、一層野蛮な連中が集まっているようだ。
「辞めとけお前ら、こいつには俺ら全員で掛かっても勝てない」
やがて、奥から昼間の男が現れた。
「……手短に教えて。まだ色々隠してるでしょ」
「いや、部外者に聞かせる内容じゃなかったからな。分かるだろ、十二英雄さん。」
露骨に不機嫌になるアイだったが、そのまま待合室へと向かうのだった。
・・・
「……一発殴っとけば良かった。」
話を終えたアイは急いで宿屋へと戻る。
旅系の話を書きたいので、ギルドとかについてはかなり端折るかもです。