02話 いざ町へ
あれから大体3日程度経過した。
今まで野宿というものを経験したことが無かったが、実際に経験してみると割と疲れる。
食料は自分で取らなくてはいけないし、焚き木を集めて火を起こしたり、川から水を汲んで運んだり等かなりの重労働だ。
短期間だったが、かなり疲労が溜まっていた。
「それでアイちゃん。後どれくらいで着きそう?」
旅の途中で名前を聞いておいた。
これから長い付き合いになると思ったからだ。
「……もうすぐだと思う。今日のうちには多分着ける」
(いやー、やっとベッドで寝れるのかぁ…。)
ここの所、毎日地面に横たわって寝ていたせいか身体の節々に痛みを感じていた。
アイは慣れているのか、全くそういった素振りは見せていなかった。
たった数日の出来事だが、思い返すと色々と大変だった。
慣れないことばかりで、正直滅茶苦茶疲れた。
「……今日も勉強始めるよ」
「はぁい」
アイ曰く、この世界と私の世界では言語が違うらしい。
アイが日本語を話せているのは、以前両親から学んだからだそうだ。
といっても、日本語を使う事は殆ど無いため話すことはあまり慣れていないらしい。
(アイの両親ってどんな人なんだろう…。)
まぁ、その内聞いてみようか。
旅はまだまだ始まったばかりだ、もっと関わってからでも遅くないだろう。
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「……これは、、、。で、あれは………」
あれから数時間、歩きながらずっと勉強をしていた。
取り敢えず、日常生活で使うような簡単なフレーズから教えてくれている。
挨拶や礼の仕方、マナー等など。
「……町についてからも分からない言葉は私が翻訳するから安心して」
実に頼もしい。
けど、頼りっぱなしにならないよう、出来るだけ早く言葉を覚えないといけない。
そうこうしていると、町らしきものが見えてきた
「ねぇアイちゃん、あれが町?」
「……そう。あれは、この世界の最南端に位置している町、トーム。」
今更だが、町に入るためには通行証や身分証明書みたいなものが必要なのではないだろうか。
「アイちゃん、あの町ってどうやって入るの?」
「……?いや、普通にお金払えば入れるよ??」
「……安心して、お金は沢山持ってるから」
そう言うと、懐に入っていた大量の貨幣らしきものを取り出した。
貨幣の価値がどの程度かは分からないが、かなりの量あるし、恐らく大丈夫だろう。
そんなこんなで町の入り口である門に辿り着き、何のトラブルも無く普通に入る事が出来た。
恐らくアイはこの町に来たことがあるのだろう。
見慣れた町かのように、町中を歩いていく。
やがて、一つの大きな建物の前に辿り着いた。
何の躊躇もなく扉に手をかけ、開いた。
「……久しぶり、冒険者ギルド。」
アイはアイビーから取った名前。