エピローグ
勢いとノリで書き上げた。
勢いとノリだけで録音して応募した。
楽しかった。
星の王子さまの難しすぎる言葉のパロディで、全然意味が分からない。でも、尾路先生を通してこのラジオドラマを作り上げた思い出は、きっとこれからのわたしの人生の見え方を大きく変えるんだなって思う。
不安定だけど大きな支えなになる。
切ない想いが入り交じった、素敵な思い出としてキラキラ光ってる。
乃璃香のしょうもない切ない片想いを笑い飛ばす。
「渡辺さん! ちょっと来て、見て見て」
二人の関係はなんにも変わらない二学期、タダシ君がわたしを呼んだ。
「どうしたの?」
呼ばれた先には、作間、山田、二逆の補習メンバーがいた。一枚のハガキを見ている。
「これ見て」
タダシ君に渡されたハガキには、ウエディングドレスを着たキレイな人がなかなかのイケメンと手を繋いで映っていた。
結婚しました!
ラジオドラマに応募してくれてありがとう。
尾路君は、生徒に慕われている素敵な先生になったんだね!
わたしは退職してチーフではなくなるけど、いい結果が出ること祈ってます。
「これって?」
「尾路さん、愛しの幸っちゃん」
「え!!!」
どんなに頑張っても相手にされてなかったってことだ。
尾路先生もわたしと一緒じゃん。
それでも、頑張った日々は美しい。
ありがとう。
ホシュウの王子さま
おわり
(参考)
サン=テグジュペリ 内藤濯 訳「星の王子さま」 岩波少年文庫