This “something” need not be matter in the restricted sense.
全12曲は一曲を除いて日付順に並んでおり3曲を除いて一筆書きの日記とされている。
通常に解釈すれば、その移り変わる心象風景がそのまま映し出されていると考えられる。
各曲は長短あり9分の曲もあれば最後の曲のように1分という曲もある。また、その時点の音が封入されており様々な自然音と旋律により構成されている。
これらの曲の中には、まるで誰かと軽やかにステップを踏んで踊るような柔らかさを感じられる曲やあたかも隣でピアノを聞いているような息遣いが感じとれる曲もある。
ご本人のお言葉としては、呼吸のサンプリングはされていないとのことだが、本当に側で聞いている感覚になる不思議と寄り添う音楽となっている。
現時点において、既にこのアルバムが最も売れたアルバムとなっている。「彼」の一番売れた曲もこのアルバムよりは前向きかつ輪郭が鮮明だが、雰囲気としては非常に近い。
この曲は5分で特に何も考えずに作り上げたとする本人インタビューが正しければ、この方は考え過ぎて人の感性から外れるタイプなのかもしれない。
アルバムにも数字を用いたものがいくつかあるが、数字のみとなると本アルバムとコンピレーションアルバムのみになる。
おそらくこの対となるアルバムは、発売時期からすれば珍しい全てデジタルで作業が行われている。また、活動前期から中期にかけてのベスト盤といえる構成であり、このアルバムから3年後に「彼」は最盛期を迎え、最も売れた曲を作り出す。
この数字のみのコンピレーションアルバムに記載された唯一のオリジナル曲は、音楽に節を作るドラムの代わりに演説が使用されており、奇妙なリズムと綺麗な「怒り」に満ちている。