第八話 主人公が・・・
栗原たちは屋上に行く途中、ゾンビたちに何度か追われたが、なんとか逃げきることに成功した。そして、この学校―Z中学校―の屋上に着く。栗原の目が何かをとらえて叫んだ。
「校長!まてっ!!」
少し遅れて、ランディとヨッシーとサルが走ってくる。
屋上にはヘリコプターが来ていて、今まさに飛び立とうとしている。ヘリコプターの中には校長の姿があった。校長はこちらを向く。その顔は・・・笑っていた。
「フォフォフォ。生き残ることができたら、またどこかで会おう。まあ、ここまでこれたんだから1つだけ謎を解明してやろう。栗原と原木が見たあの夢はワシが見せたのじゃ!フォフォフォ!!」確かに謎だったがどーでもいい謎だ。
そして、ヘリコプターは飛び立つ。周りにものすごい風が巻き起こり、栗原は思わず目を閉じた。
栗原は風が弱まったので目をあけた。しかし、もう屋上には校長が乗っているヘリコプターの姿がなかった。栗原が空に向かって叫ぶ。
「クソォ!!あのやろー!!」
栗原は後ろを振り向く。
「ヴォーー!」
そこにはゾンビがいた。そのゾンビは太っている。ヨッシーは、その太っているゾンビを指差した。
「で・・・ぶ・・・?」
ランディはサルがでぶとは誰だと聞いてきたのでこそこそとでぶについて説明がしている。ヨッシーがきれた。
「もうゾンビばっかし・・・ざけんなーー!!」
ヨッシーはナイフをダーツ風に投げる。そのナイフはでぶゾンビにあたった。確かに当たった。しかし、でぶゾンビの弾力のある(ゴムのような)脂肪の詰まった腹でそのヨッシーのナイフを跳ね返した。そのナイフは・・・主人公である栗原をロックオンする。
「・・・あ」
ヨッシーはやっちまったなあとほざいている。そう、ヨッシーのナイフは栗原の左足に見事に命中したのである。
「いたああっ!」
栗原はあまりの痛みにその場にうずくまってしまった。そこに、でぶゾンビが突進してくる。
「あぶないっ!」
ヨッシーは栗原にでぶゾンビよりも早くタックルをして、吹き飛ばした。・・・栗原は、下に落ちてしまった。
「やっべ!主人公を落としてしまったああ!!」
ヨッシーはあせっている。ここは屋上。その屋上から真下へ落ちてしまっては生きている可能性は・・・0に等しい。途端にサルからものすごい怒りというものを感じた。サルの目が一瞬ヨッシーを捉えてからでぶゾンビをにらむ。そのサルの目が一瞬ヨッシーを捉えたのにはどういう意味が含まれているのか、あまり考えたくはない。
ヨッシーは即座に土下座する。
「さ、サル・・・。ごめん・・・。でもああしないと、ゾンビにかまれて栗原がゾンビ化してしまうから・・・。いや、まさか落ちるとは思わなかったよ!と、とにかく!わざとじゃないんだ!!ごめん!!!!」
「え?あ、なんだわざとじゃなかったんだ。なら、いいよ別に。だって、それならあのゾンビが悪いからね。・・・ということで」
サルは日本刀を構え、でぶゾンビにその刃を向ける。でぶゾンビは馬鹿なのかサルに向かって突進してきた。サルは一度だけ切る。
「ヴァア!?!?!?」
でぶゾンビはその叫び声をあげたのを最後にして崩れた。弾力性があるのは腹だけなのである。
ランディはふうとため息をついた。
「おわった・・・な。この小説。主人公がいないんじゃ、だめじゃん!」
「ご、ごめん・・・」
ヨッシーはかなり落ち込んでいる。ランディがそんなヨッシーにこういった。
「なら、大声で僕は変態です!!って言ったら許す」
「え・・・えぇ!?」
「そうそう、それならおれも許すよ」
サルまでもがそういう始末で・・・ってかサルはさっき、ゆるしてくれたじゃん!?どうなってんの!?何この展開!?
ヨッシーは仕方がなく手に力を入れる。
「ぼ、僕は変態です!!・・・これでいい・・・?」
「「おkおk」」
ランディとサルは爆笑しながらもおkといった。なんだか悲しい。
「ヴォーー」
「「「あ」」」
三人そろってその音を聞いてゆっくりと振り向いた。何度も聞き覚えのあるこの声。そして、今度こそ終わったな・・・と思った。はっきりいって、ヨッシーが大声を出したせいである・・・。
次回エピローグ!!はたして、この小説はこのまま終わってしまうのか・・・?