表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

童話(ほのぼの系)

いいものってなんだろう?

作者: 橋本 静音

 

 いいものってなんだろう?


 ある日、ママが「いいもの買っちゃった!」

 と見せたのは、卵だった。

 「今日安かったのよ。」という。


 やすいって、いいものなのかぁ。


 そう思ってこのまえ、やすいって書いてあるところで

 「ママ、みて!いいものあったよ!」といったら、

 「これはいいものじゃないのよ。」とママはいった。

 「だってこれ、ママには必要ないもの。」


 ううーん。そうなのかぁ。

 むずかしいなぁ。


 むーん。いいものってなんだろう?

 

 またある日、近所のおばあちゃんが

 「いいものあげるよ。ほら、手を出してごらん。」というので、そっと手を出してみた。

 すると、手いっぱいにアメをくれた。


 イチゴやメロンの味のアメもあったけれど、その中に、ハッカと書かれたアメがあった。


 「ハッカってなぁに?どんな味がするの?」ときくと、

 ママは「スース―するよ。」といった。


 スースーするってどんなだろう?


 袋を開けてみると、入っていたアメはまるで雪のように真っ白な色をして、キレイだった。


 その雪玉みたいなアメをドキドキしながら、口へとはこんだ。


 口の中ははじめての味がする。

 そして、冷ややかな風がノドのおくから鼻の先っちょまですいこんだ息とともにスゥーと吹き抜けていく。


 ぼくはおどろいて、「なにこれ?」というと、

 「ほらね。スースーするでしょ?」とママはいった。


 ああ、これがスースーか!


 こんなスースーははじめてだ。はじめてっていいものかもしれないなぁ。


 次の日、砂場で遊んでいると、

 泥団子名人のみっちゃんが、泥団子をたくさん作っていた。


 いいなぁーって思ってみていたら、なんと1つ分けてくれた。


 形のいいまんまるのすべすべとした泥団子。

 しばらくの間、両手にのったそれを見つめた。



 ああ、これはいいものだなぁ。



 でも、いいものを作るってむずかしいんだなぁ。

 だって、ぼくは何回作ってもこうはならないもの。


 

 あっ!

 そのときぼくはあることに気づいた。


 たまごもハッカのアメもきっとだれかが作ったいいものなんだ!


 そう思うとぼくもいいものを作りたくてソワソワした。



 この泥だらけのくつも帰りにのるバスも「ただいま」もきっとだれかが作ったいいものにちがいない。



 今日ごはんはオムライスだというので、「ぼくも作りたい!」とママにいうと、

 「あら、めずらしい」とママはおどろいていた。


 ぼくはとびっきりのスペシャルなオムライスを作るぞ!と息巻いた。


 頭には、ママやパパ、兄ちゃんたちのよろこぶ顔が浮かんだ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 誰かが作ったものはいいもの! という発想、いいですね。 誰かを喜ばそうと気合を入れて作ってものなら、その素晴らしさは天まで届くほどでしょう。 込められた気持ちって、なんとなーくわかるものです…
[良い点] いいものについて考えるぼく君、微笑ましいですね。ハッカでスースーする所とか可愛くて良かったです。 一括りにいいものと言っても人それぞれ微妙に違うし、「どう終着するのかな?難しいぞ?」と思…
[良い点] 小さな子が一生懸命自分なりに考えていることが自然に書かれていて、温かい気持ちになります。 確かに子どもの立場で日々を過ごしていくと「いいもの」は何だかいろいろで、みんな違う感じがしますね。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ