神に嫌われし子
こんにちは!ARIAです。第1話は結構主人公が可哀想だったりもしますが…まあ!後への楽しみが大きくなるということで
プロローグから読んでくださると嬉しいです
「お前が…いなければ…!!」
「お願いします…アルダーソン男爵様…許して」
「お前がいなきゃ…この俺は…!!」
「男爵様…」
アルダーソン伯爵…いや、アルダーソン男爵はボロきれの少女…元雪華王国第4王女・未菜にナイフを投げる
未菜は慌てて避けるがナイフが頬を掠めた。
「いたっ!」
アルダーソン男爵は冷たい目で未菜を見る。
この目…どこかで未菜は頭をおさえた。
「ウッ!く、苦しい!助、助けて下さい!」
怖い、怖い怖い!この目は…
未菜の意識はそこで途絶えた
「あの子の延命治療を」
誰?凄く綺麗で細い女性だ
背の高く金持ちそうな男の人
この人たちどこかで見た、未菜は必死に考えたが思いつけなかった
しかし、頭はどんどん痛くなるばかり
「延命治療は高い。あの子にそんな価値があると?」
冷たい声…
「お金のことを気にしているの?」
「君が…そんなことを言うとは!今更母親としての意識が芽生えたか」
「あなたこそ父親でしょ?でも、残念はずれ。重要なのは夢花?笑わせないでよ。重要なのは名誉!夢花なんかじゃない」
夢花…?それって
「名誉…くだらない!陰口を言う所の企業は全部買収すればいい」
「評判は重要よ!」
「パパ?ママ?」
『私』が声を出すと2人の男女は振り向いた
「起きてたの?ママ、心配したのよ!」
「パパもだ」
「演技は辞めて…!!パパもママもどっちも会社と名誉の事しか考えられないじゃない!」
「そんなわけないだろう?パパはお前のことを…」
「私が…私がなんにも知らないと思った?外聞を良くしたかったからって…!確かにいいよね。財閥の娘が病気で」
「その娘を仕事よりも優先して助ける事か?分かっているじゃないか」
「…!!」
『私』は涙を流した
「病気だから?助からないから?」
「お前が無能だからだ」
「なんで?私、中学生だけど英語ペラペラに喋れるよ?フランス語も日常会話レベルにはできるし、数学だって高校数学とっくにやってる」
「だからなんなのよ?私たちの仕事を邪魔したじゃない」
「え…??」
「行かないでってバカにしてるの?あんたの面倒見るのに何個仕事ふいにしたか」
「そんな…理由で」
『私』は絶望している。『私』が今なら誰か分かる。
これは未菜の前世・夢花だ
これほどまでに悲しいことってあるだろうか?
前世は財閥の両親から愛されないお嬢様
今世は育ての親から虐待される子ども
私は、神に愛されない子どもなのか
「あ、ああ!痛い!苦しいよ…助けてよ!誰か…誰か!!!」
夢花は前世で考えたことがあった
悪役令嬢に転生した時、記憶が戻る時は家族に見守られたいなと
「心配した」
と本心から言って欲しいなと
でも、現実は非情だ
何かに転生した夢花を家族は見ている
けれど、冷たい目で夢花を見下ろす
「ああ、最悪だ」
「何が最悪なんだ?」
さっきまで視界に入れないようにしていた伯爵の顔を見た
漫画で見たことがある顔…
「セオ・アルダーソン男爵…?」
「ああ、そうだ!!お前が来たせいで没落し独り身になった男爵だ!」
じゃあここは…『最レベ』の世界なの
『悪役令嬢は国外追放になってもいいように最強になるまでレベルをあげます(最レベ)』
これは乙ゲーに転生した悪役令嬢がバットエンドになった時のため冒険者になって頑張るが、結局王太子に溺愛されるストーリー…
大流行した漫画で、夢花も勉強と勉強の間の時間に読んでいた
ざっくり言うとこんな感じ
細かく言うと
7人の攻略対象がいるゲーム『あなたはまるで』に転生した悪役令嬢・リリアが前世の記憶を思い出す。そこで、バットエンドになっても冒険者として食っていけるようにS級冒険者を目指す。そんな努力家な姿に攻略対象でリリアの婚約者である王太子殿下は惚れてしまう。
しかし、ヒロイン・ミナは王太子を誘惑して、リリア殺害をしようとする。
それが防がれて、ミナは一生幽閉され、リリアは王太子と共に暮らす
めでたしめでたし
…って全然めでたくないんだけど!
このヒロインは結構大変な人生だ
元雪華国のお姫様 (現在はソード帝国の属国)
亡命してきて、雪華国国王の仲の良かったアルダーソン伯爵を頼る
アルダーソン伯爵は最初は可愛がっていたが、ミナが来てから段々没落してきて、更にミナが来てから妻と離縁させられたり、娘が病気になったり領民の間に感染症が流行ったり、事業に失敗したり…とにかく不幸続きなことに気づく。
気づいた時には既に爵位を売り払わないと生きていけず、男爵になってしまった
アルダーソン男爵に虐待をされ続けたミナは、助けてくれた王太子に恋してしまった
でも、リリアが邪魔だった
だから、殺そうとした
元々乙ゲーだと虐待されてたのを王太子が救い、王太子とそこで出会った。
夢花、いや未菜が考えていると男爵が未菜を睨んだ
「もうおさまったのか?まだ続けば良かったのに」
「男爵様」
「なんだ?」
「私が来てからの不幸の連続…本当に申し訳ないと思っています」
未菜に教養などないからどう言っていいかなんて分からない
「だけど!こんな事は正しいやり方では無い…聡明な貴方なら分かりますよね?」
「翠真…」
「男しゃ…」
分かってくれたのかも…
そしたら家族で本当に楽しいこと出来るのかな
「お前が…お前が翠真も殺したんだ」
結局何言っても漫画の通りなのか…
漫画ではここで心が壊れてしまう
自分は死神だと思い込み、王太子以外皆が悪口を言っていると思い込むようになるのだ
「父上を殺したのは私ではありません!ソード帝国の兵達いや皇族、貴族達です!彼らは同盟に逆らい、雪華王国に奇襲を仕掛けました。卑怯な手を…先にスパイを送り、街に爆弾をつけていくなんて」
「何故お前が知っている?爆弾の事…その事だけは言ってないのに」
「…あ、えっと」
ばか、いくら外伝で読んだからって
ヒロイン・ミナは最後まで知らなかったのに
ん?待てよ。ここが『最レベ』の世界なんだよね
ということは!
お兄様である朱優様は生きている!
「何故知ってるんだ!答えろ!答えなければ」
「お…お告げで聞きました」
この国の神からのお告げ。それは騙ったら相当な罪にあたる代わりお告げを受けたものは相当な地位に立てるというもの。
ヒロイン・ミナもお告げを受けたと偽造し、聖女の名を騙った。
まあ最も後にバレて刑が重くなったが
でも、お告げを受ける=神の愛し子だ。
つまり、神の愛し子≠死神では無い
ここから先3年以上虐待されるのはごめんだ
いつ未菜が狂うか分からない
この世界で転生者は星の迷い子と呼ばれ、星の迷い子は神に愛されているとこの国の人達は考えている。
だから
お告げを受ける→神の愛し子←転生者=私
あながち間違ってはいないのだ
「お告げだと…?」
「だから…だから私は死神ではありません」
「う、嘘だろう?」
「ホントです」
「じゃ、じゃあ他のことも知ってるのか?」
「ウィンターズ公爵家にリリア・ウィンターズ様がいらっしゃること…教えてくださらなかったですよね?」
「あ…ああ」
この人が私に何かを教えてくれたのは優しい頃だけ。
その時に教えてくれたのは両親とソード帝国の事、お兄様のこと…
他にも王太子様の事とかは教えてくれたけど公爵家のご令嬢様のことは聞いてない…はず
「あとはアルフォード侯爵家のジョセフ様がコネリー公爵家のマイラ様と婚約なさったとか」
「お前…本当に」
「神の愛し子です」
残念ながら私は神に嫌われし子だけど
「そう…なのか」
さっきからアルダーソン男爵は驚いてばっかりだ
神の愛し子に虐待だなんて大変だから
まあ私は神に嫌われし子だから多分大丈夫だろうけど
「もう神に嫌われたなら全部関係ない!」
…え?
読んでくださった方ありがとうございました!
是非第2話も読んでください!
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