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ネクライトーキー『ZOO!!』(2020年)

●明るくキャッチーなだけじゃない!


コンテンポラリーの生活というバンドのギターボーカルをやっている朝日廉さん(石風呂名義でボーカロイド楽曲も発表している)がギターとメインソングライターを務めるバンドのメジャーデビューアルバム。


GEZANに続いて本作についてもレビューする予定だったけど、GEZANの新譜で魂丸ごと持っていかれるようなリスニング体験をしてしまったため、書く気が失せてしまっていた…。


しかし、それでも書く。GEZANを聴いた後だからかもしれないけど、本作『ZOO!!』を聴いた時に音の華やぐ明るさを感じ、気分が良くなった。シンセもギターもロリ声ボーカルもとてもカラフル! 前作よりもテクニカルな作りになったが(『ぽんぽこ節』に至ってはプログレだし)、曲調も分かりやすくノれるものだし、フックもたくさんある。


可愛い歌ってこういう歌を言うのだろうなってくらい可愛い歌。ユーモアも交えて歌うのも良い。だが、この可愛らしい歌は毒とネガティブも含んでいる。「アイツが また選ばれて/期待していた自分に笑えてくる」(「夏の暮れに」)という歌詞、選ばれなかった自分というフィーリングに共感するリスナーも多いのではないだろうか。


そうそう、この「夏の暮れに」はボーカルの"もっさ"が作っている。「うだるような暑さも/五月蝿い蝉も消えた/日が暮れるのも/早くなったな/目を細める/踏切の音/電車が風を集めた/通り過ぎていく/これからのことも」という歌詞が素晴らしい。夏の暮れの巧みな風景描写から心理描写へスムーズにつながり、どこかしら寂しさの残る歌詞だ。この歌詞は夏の暮れのフィーリングを見事に捉えていて、僕は"文学"を感じたりもした。


「ボケナスのうた」では「日々、意味はない」という歌詞でポストモダン的な状況が歌われる。日々、意味はないからどうするのか。GEZANの新譜は政治に近づいていった。ネクライトーキーは、涙のキラメキがあればいいよと歌うのだ。この姿勢にKing Gnuの「めくるめく今という煌めきに/気づけたらいいんだ」という歌詞を連想した。ネクライトーキーこそ、Teenager Foreverなバンドだろう。フレッシュなフィーリングを常に持っているバンドだと思う。


このサウンドに全面的にポジティブな歌詞の歌がのっていたら、ここまでの人気は博さなかっただろう。毒とネガティブもあるからこそ、心に残る歌になる。かわいさ+毒といったら、『チコちゃんに叱られる!』のチコちゃんだが、それらにネガティブ+カラフルさを加えたらネクライトーキーになるのではないか。チコちゃんと同じく、ネクライトーキーの存在は時流を捉えている。


「深夜とコンビニ」では表情豊かな大人の女性の歌唱を見せる"もっさ"の成長も素晴らしい。ネクライトーキーは可愛くてカラフルな曲だけではないことが分かる、しみじみと深い曲だ。


オススメ曲は「北上のススメ」。「北へ向かえば」と明るい声で連呼されると、なぜか自分を全肯定されている気分になる。キメの多いサウンドが気持ち良い。オープナーの「夢みるドブネズミ」も登場するネズミの全能感を示したようなサウンドがとてもキャッチー。


ポップでキャッチーな明るい歌を求めている方にオススメです。そして、聴いているうちに、それだけじゃないところにずぶずぶとハマっていくのです…。「涙を拭いてまた笑ってよ」(「涙を拭いて」)と"もっさ"が歌うのなら、まだ頑張れる気がするぞ!


Score 8.1/10.0

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