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東京事変『音楽』感想&レビュー【カラフルな演奏がディープで楽しい】

●カラフルな演奏がディープで楽しい


椎名林檎を中心に結成された5人組バンド"東京事変"の6枚目のオリジナルフルアルバム。


『教育』、『大人(アダルト)』、『娯楽(バラエティ)』、『スポーツ』など、テレビ番組の分野名を冠したアルバムタイトルをリリースしてきた東京事変。


2012年、『color bars』(昔、一日のテレビの放送が終わった後にテレビ画面に表示されていた色の羅列という意味)というミニアルバムを発表して解散。美しい最後だったと思う。


しかし、2020年に復活。同年に『ニュース』というミニアルバムをリリースする。


そして、2021年にリリースされる今作のタイトルは『音楽』。ストレートなタイトルだ。そして、そのタイトルを背負えるほど力のあるアルバムだとメンバーは自負しているのだと思う。



僕は東京事変に関してはライトリスナーだ。椎名林檎名義のアルバムは、これまで6枚発表している中で『無罪モラトリアム』(1999年)と『勝訴ストリップ』(2000年)の2枚しかリピートして聴いていないし、東京事変名義の作品は、「群青日和」、「キラーチューン」、「閃光少女」などの数曲を主に聴く、曲単位の付き合いをしていた。


本作『音楽』を聴いた時、ファンの方には申し訳ないが、このアルバムはメンバーの才能の無駄遣いではないかと思った。歌ものとしても、音楽実験ものとしても失敗していると考えたのだ。


しかし、2周目から聴いていて気持ち良くなる。東京事変の曲は、ガッシリした音楽の幹があって、そこから枝葉が自由に伸びている。その幹の部分を理解して捉えられれば、枝葉も含めた魅力が見えてくるのだ。


ジャジーにスウィングする曲や、ファンク、ラップなど、音楽的に彩り豊かにアルバムは進行していく。曲名もレインボーなカラフルさがあり、「紫電」、「緑色」、「孔雀」<筆者注:孔雀の羽はカラフルだ>など色にまつわる曲名が多い。「青のID」、「闇なる白」「赤の同盟」のカラー三連曲は、フランス国旗と同じ色なので、僕は勝手にフランス三部作と名付けようと思う。シンセロックの「黄金比」の"黄金"もカラーものとして扱ってよいかもしれない。


そして、僕が今作に関して強く共感したのは、自己の内面を吐露するため、"社会"のことを歌っていること。このコロナ禍において、自身の心情を描くには、"社会と接続している自分"を描く他ないと思う。僕の好きなバンドである"うみのて"も歌詞の社会風刺が痛烈でクセになるが、東京事変の社会の描き方はうみのてのようにメタ的ではなく、もっと主観的に思える。


今以て右を左を敵対

どうなってんだセンターライン

どっちもどっちで否両成敗

(「毒味」)


遠い両極端の丁度間には中道があるって思いこんで

人生半分を終えた終えた今

遂に把握したセンターライン引けば出来ていくんだ

まあそう難しく考えないでイージーに

(「一服」)


"センターライン"を歌い、右派と左派へのカウンターの表現をする椎名林檎の歌詞の表現は、中道・中庸を主張する僕にとっても理想の表現に思える。オリンピックに関わっていることや、ヴィジュアルや歌詞の日本的意匠から、椎名林檎のことを右派と色付けしたい方もいるかもしれない。しかし、彼女は本作で描いている。白と黒の間にある無数の色こそ、魅力的なのだと。


ところで、僕が今作『音楽』でもっとも好きな曲は「一服」だ。椎名林檎が作曲した東京事変の曲で一番好きかもしれない。(前述した僕のお気に入りの3曲「群青日和」はH是都M、「キラーチューン」は伊澤一葉、「 閃光少女」は亀田誠治が作曲。)


今作が音楽的にも表現的にも優れていることには疑いはないが、椎名林檎名義の黄金期の曲や、東京事変の時に産み出したキラーチューンを超えるような即効性のある曲をまた産み出してほしい。僕らがテレビ番組を観る時に受動的でも楽しめるように、その即効性でリスナーをなぎ倒していってほしい。頼みまっせ、東京事変のみなさん!


Score 7.9/10.0

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