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2020年代前半ベストトラック(ほぼ邦楽)10位→1位

こんばんは!

今回は10位から1位まで発表します。

果たして、よーよー的映えある1位は!?


それでは、カウントダウン!


【10位】川辺歩「僕を殺して」('22)

実はこの曲のクレジットには僕の名前(遊道よーよー)がある。僕が昔に作った曲(「カラス」)からインスピレーションを受けた川辺が歌詞のアイデアを借りて作ったのがこの曲だからだ。


こう書くと手前味噌で選曲したと思われる方もいるかもしれないが、本当に素晴らしい曲なのでぜひ聴いてほしい。(ある有名アーティストも川辺の実力をほめていたし、この曲ではないが過去に坂本龍一のラジオで川辺の曲が取り上げられたこともある。)


僕は「カラス」を作ったとき、本当にギリギリな状況だった。川辺が作った「僕を殺して」は温かくリバーブがかけられた音響も含め、それよりは陽性のバイブスを感じる。ある意味、「カラス」へのアンサーソングなのかもしれない。


【9位】笹口騒音オーケストラ「名曲の描き方」('21)

最新作も最&高!だけど、2ndアルバムの方が好き。(最新作『(Songs of)THE MAN WHO』はあえてだろうけど、インテンポではない箇所があってそこがどうしても気になってしまう…。)


そして、この曲はその2ndアルバム『みんなのうたたち』の中でも屈指の名曲。語りすぎないけど耳でとろけて腹に落ちるベースが素晴らしい。


名画と呼ばれるルソーの「戦争」の少女の瞳、不染鉄の「山海図絵」について、「その命の火は消えても それでもなお燃え続く」と歌っているのは、芸術論になっている。作者の命が消えても、作品は燃えるように輝き続けるのだ。笹口さんはそのような作品を作りたいのだろう。


映画であるクストリッツァの『アンダーグラウンド』、伊丹十三の『たんぽぽ』について、「目を閉じなくてもみえる闇 眠らなくても起きる夢」と歌っているのも芸術論だ。


僕もこの曲に感激して歌詞に登場するこれらの名作もググっちゃったし、『アンダーグラウンド』のDVDまで買っちゃったしね。(『たんぽぽ』もいつか観たい。)


このアルバムからは、より間口が広い「夏町」もどうぞ! こんな良い曲があるのに、ブレイクしないのはなぜなんだ…。


【8位】神聖かまってちゃん「僕の戦争」('21)

宇多田ヒカル曲へのコメントのとき、『エヴァ』と自分の半生の関わりについて書いたけど、この曲がOP曲である『進撃の巨人』も僕にとって大切な作品だ。


もちろん、僕がこれまで『とかげ日記』に書いてきたように、この曲を作った神聖かまってちゃんも大切な存在だ。スピッツを聴いて音楽に目覚めた僕は、2010年代に登場してシーンに鮮烈なインパクトを与えたかまってちゃんで二度目の目覚めを迎えたのだ。


かまってちゃんはポップソングも良い曲を書くけど、こういうドロドロしたクセのある曲も良いんだよなぁ。アニメOP部分にない、後半の日本語歌詞の部分がグッとくる。戦争のヘヴィネスと学校からの帰り道がシームレスにつながるのは、かまってちゃんの無二の作風だと思う。殺伐とするほどの切実な表現の強度でいえば、2020年代どころか、オールタイムでランクインする力を持った楽曲です。


【7位】崎山蒼志「橙」('23)

革新的でオルタナティブな感性と、良い「うた」を書ける才幹の両者をあわせ持つ人って少ない。崎山さんはその両者をあわせ持つ稀有な人。この曲は彼の純真な優しさが伝わってくる。


彼の音楽的才能を疑っている方には、「In Your Eyes」もどうぞ!(YouTube上にないので、ぜひサブスクで。)この深くまどろみ、わびしい哀感よ…


【6位】Khaki「お祝い」('23)

ここは僕が知っているようで知らなく、分かっているようで分からない半知半解の音楽の世界。実感のリアルと狂気のフィクションの境目を泳いでいくような虚実皮膜の作風にアートが芽吹く。普通の邦楽に飽きたらば、ぜひ彼らの音楽を聴いてほしい。


【5位】スピッツ「美しい鰭」('23)

「空も飛べるはず」「ロビンソン」「チェリー」「楓」に次いで生まれた、スピッツのあらたなスタンダードナンバー! めちゃポップな代表曲が増えてよーよー的に嬉しさ満点。この曲の楽観的なバイブスは今、多くの人が必要にしているものだと思う。ホーンの絢爛さが光り、細部までポップに作り込まれている巧緻がいぶし金(≠銀)な名曲でもあります。


【4位】ダニーバグ「まなったん」('23)

女子アイドルに捧げた名曲といえば、道重さゆみに捧げた大森靖子「ミッドナイト清純異性交遊」があるが、秋元真夏に捧げたこの曲も負けず劣らず名曲である。最初は弾き語りなのだけど、後半から他のパートも加わって音楽が立ち上がる瞬間といったら!


「音楽で無敵になった負け犬」というキャッチコピーで行くみたいだが、無敵になったら勝ってほしい。バンドシーンで行くところまで行ってほしいとファンとしては思う。


イカしたロックンロールバンドでもあるので、「ポータブル・メトロポリス」も紹介しておこう。SF的味わいのまろやかで饒舌なロックンロール!


【3位】夜に駆ける「化石になろうよ」('20)

"終わりだけが救い"というフィーリングは、楽観主義の僕には正直分からない。だけど、"日々に意味を持たせたい"という思いが、切実に伝わってきた。この音楽を必要とする人はきっと沢山いる。終盤の盛り上がりに落涙する人もきっといる。自分の心をこれほど安心して預けられる音楽は滅多にない。


現在、活動休止中ですが、早期の活動再開を願っています。


【2位】SuiseiNoboAz「3020」('20)

スイセイノボアズによる渾身の一曲。聴くたびに新たな発見があるポエトリーリーディングの歌詞、石原正晴さんの力強い声、千年先まで捉えるかのような達観したギター、流線型にグイグイ動くベース、ドラムの律動はそれらを支えながら未来を見ている。


著名な小説家の大岡昇平は戦地で歩哨に立つ時、中原中也の詩「夕照」に節をつけて歌っていたという。それと同じく、僕も辛いとき、不安なときはこの曲を聴いてきた。ポケットの中にいつもある精神高揚剤のようなものである。


このバンドには他にも良い曲はあるけれども、よーよー的にはAPOGEE「夜間飛行」や、トモフスキー「我に返るスキマを埋めろ」のように一曲だけ突出して聴く感じだな。ミスタードーナツで、美味しいからいつも同じドーナツを買うようなものかもしれない。


【1位】うみのて「テトリキッス」('23)

笹口騒音さん率いる"うみのて"が放った邦楽シーンとロックシーンの双方における反戦歌の決定版。ゲストボーカルに内田万里さん(ex.ふくろうず)を迎えている。


この曲は、音楽シーンだけではなく、社会に刺さるべき名曲。「感じろ」と訴える曲は巷では数多にあるが、「考えろ考えろ感じて考えろ」と歌う曲は稀有ではないか(他にそのような曲を僕は寡聞にして知らない)。しかし、「考えろ」と歌っても小難しくない。音楽の形と意思が心に触れるように伝わってくる。


「玄人リスナー」の愛好誌『ミュージック・マガジン』の推し特集のバンドとして、うみのて が挙げられたというのは聞いたことがない。だが、ミューマガでたびたび取り上げられる、たとえばくるりのようなバンドと、うみのては豊かで高度な音楽性という点で通じると思う。うみのてとくるりは方向性が違うだけだし、僕は双方のバンドを推していきたい。


ところで、あるバンドの新譜がデビュー時から音楽性がまったく変わっていないことに驚いた。(でも、相変わらず面白くて良い作品だけど。)だが、笹口騒音さんとうみのては音楽性を作品や曲ごとに次々と変えていく。メタモルフォーゼ(≒ 変態させる、一変させる)という言葉がふさわしいアーティストだ。だから、飽きない。オアシスよりもブラーを推し、レディオヘッドを愛好するミュージシャンとしての笹口さんの面目躍如だ。


僕はYouTubeのコメント欄にこう書いた。

「自分が大ファンである内田万里さんと"うみのて"がコラボするなんて、奇跡と呼ばすになんと呼ぼう…」

この奇跡のコラボは、2020年代の音楽シーンの出来事で一番嬉しいものだった。


「ウチらも戦場から命からがら帰ってきた」という歌詞は、2010年代のバンドシーン(戦場)において、笹口さんと内田さんが共にサバイブしてきた感傷(散っていったバンドへの想いも含めて)を歌っているのではないか。


もっと、ダークで辛辣な歌を聴きたい方は、キレッキレのラップが破壊力のある呂布カルマをフィーチャリングした「MUTEKIの歌」をどうぞ!


∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥

いかがでしたか?

果てしなき音楽の旅の一助となれば幸いです。

良い旅を!


★2020年代前半ベストトラック(ほぼ邦楽)30位→1位

【1位】うみのて「テトリキッス」('23)

【2位】SuiseiNoboAz「3020」('20)

【3位】夜に駆ける「化石になろうよ」('20)

【4位】ダニーバグ「まなったん」('23)

【5位】スピッツ「美しい鰭」('23)

【6位】Khaki「お祝い」('23)

【7位】崎山蒼志「橙」('23)

【8位】神聖かまってちゃん「僕の戦争」('21)

【9位】笹口騒音オーケストラ「名曲の描き方」('21)

【10位】川辺歩「僕を殺して」('22)


【11位】SEKAI NO OWARI「Habit」('22)

【12位】太平洋不知火楽団「売春歌」('21)

【13位】羊文学「光るとき」('22)

【14位】NEW OLYMPIX「もはや平成ではない」('22)

【15位】宇多田ヒカル「One Last Kiss」('21)

【16位】ドレスコーズ「ちがいをみとめる」('21)

【17位】サカナクション「ショック!」('22)

【18位】ROTH BART BARON「赤と青」('22)

【19位】RADWIMPS「猫じゃらし」('20)

【20位】くるり「真夏日」('22)


【21位】GEZAN「東京」('20)

【22位】中村一義「春になれば」('24)

【23位】ビートルズ「Now And Then」('23)

【24位】MOROHA「ネクター」('23)

【25位】マネスキン「GOSSIP」('23)

【26位】リーガルリリー「ハイキ」('23)

【27位】踊ってばかりの国「Lemulia」('21)

【28位】米津玄師「感電」('20)

【29位】King Gnu「どろん」('20)

【30位】藤井風「満ちてゆく」('24)

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遊道よーよーの運営する音楽ブログ『とかげ日記』です。
音楽を通じて深く何かを考えてみませんか? さあ、一緒に音楽の旅へ…。
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