ハリエット・フィリップス
今回から数話ほどちょっとGL要素入ります!苦手な方は読み飛ばしてください!
僕はハリエット・フィリップス。由緒正しきフィリップス侯爵家「令息」だ。認めたくはないが一応この家の「一人娘」であり、このフィリップス家の正しき後継者でもある。僕の後は僕の遠縁の親戚を僕の息子として育てることになっている。なぜ遠縁の親戚から婿を取らないか?僕が「僕」だからだ。
最初は両親は僕に遠縁の親戚から婿を取らせようとしていた。淑女としての教育も受けていた。でも、僕はそれを受け入れられなかった。だって、僕は「僕」だから。
最初は小さな違和感だった。僕はどうして「男」なのに女の子のように育てられているんだろうって。でも、間違えていたのは僕の方だった。
「貴女は女の子なのだから、もっと淑女らしく…」
「母上、僕は男です。どうして女の子として育てようとなさるのですか」
「…!何を言っているのハリエット!貴女は女の子じゃない!」
「…?母上?僕は男です」
「…なんてこと!」
両親はこんな僕を最初は拒絶した。でも、その後子供が出来なかったこと。可愛い一人娘であること。それらがあって、結局両親は「僕」を認めてくれた。好きなように生きていいと。ただしこの侯爵家を継ぐに相応しい「男」になれ、という条件付きで。
そうして僕は「僕」になった。
男装の麗人。男より眉目秀麗で文武両道でフェミニストで完璧な男。銀の髪はファンの女の子から貰った蒼いリボンで一括りにまとめ、男よりきりっとした眉と二重で切れ長の目。ブルーの瞳は女の子を一目で落としてしまうほど。もちろん背丈や筋肉だって並みの男よりある。胸は控えめだが僕は男なのでそれはいい。いや、胸筋は欲しいが。我ながら完璧な男だと思う。思うのだが…。
「ノア様!今日もなんて見目麗しい!」
「なんて完璧な方なのかしら!」
僕にはライバルがいる。ノア・オルティス。令息の中の令息だ。公爵令息で、文武両道、見た目もまさに王子様。彼の綺麗な黒髪と紫色の目はどんな令嬢でもポーッとしてしまうほど。色白な肌もゴツゴツした手も、整えられた爪も美しい。顔のパーツも整っているし、背は高いし細マッチョ。僕も負けてはいられない。
…で、問題はここから。我がライバル、ノア・オルティスの婚約者、ユリアナ・オルコット嬢に最近僕は頭を悩ませている。
うん。まあ、正直に言ってしまえばユリアナ・オルコット嬢に惚れてしまったのだ。
家柄普通、成績普通、唯一顔だけはいい。プラチナブロンドの髪と緑の瞳。この国ではありふれた色だし、肌も色白だけど僕やノアの美しさには遠く及ばない。
そんな彼女の何に惹かれたかといえば、先日あったノア・オルティスとユリアナ・オルコット嬢の不仲説。そんな中でも彼女は夜会に出席し、気丈にも背筋を伸ばして凛とした雰囲気でノアの隣に立っていた。
あの雰囲気に僕はすっかり当てられてしまったのだ。ここ最近は彼女のことばかり考えている。
どうにかして彼女とお近づきになりたい。そして彼女を嫁として迎え入れたい。
なんにせよ、まずは彼女とお近づきになりたいものだ。どうしたものだか。
ハリーは生まれてくる性別を間違えただけで最高の貴公子




