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私の婚約者が完璧過ぎて私にばかり批判が来る件について  作者: 下菊みこと


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婚約者と夜会

断罪劇

変な噂が流れるようになってから数日が経ちました。私はルーク様となるべく距離を置くようにして、ノアと一緒に過ごすようにしています。それでも噂は消えません。私がもっと気をつけていたらノアにもルーク様にも迷惑をかけることはなかったのに…。申し訳ない気持ちでいっぱいです。


そして今日はこれから夜会があります。こんな状況でノアの隣を歩くのは正直抵抗がありますが、ここで欠席したり、ルーク様やアベル様と一緒にいても逆効果です。頑張ってノアの隣に立ちます。


「まあ!ユリアナ様ったら恥ずかしげもなくノア様と一緒にいらっしゃるわ!」


「ええ、なんて方なのかしら…」


「私だったら恥ずかしくて夜会になんて出られませんわ!」


「ユリアナ様ったらひどいお方!」


「結局こういう場ではルーカス様を選ばないのね!」


「なんてこと!」


バッシングを受けても仕方がないと思います。根も葉もない噂とは言え、この状況で夜会に出るのは私だって悩みましたから。でも、ノアやルーク様のことを考えるとこれ以上噂をエスカレートさせるわけにはいかないし、それなら出てくるしかなかったのです。


ノアが気遣わしげに私を見つめてきます。大丈夫よ、というと切なげに瞳を揺らします。ノア、私の軽率な行為のせいで巻き込んでごめんね。


「ノア様!お会い出来て嬉しいですわ!」


「ユリちゃん、ご機嫌よう!」


アリア様とルーク様が側にやってくる。それだけでまた周りはざわざわしだした。


…と、アリア様とルーク様の前にノアが立ちはだかる。まるで私を守るように。ノア?どうしたの?


「突然だけど」


「?はい、ノア様」


「僕は今から君達を断罪する!」


「!?」


ノアは何をいっているの!?せっかくルーク様と仲直り出来たばかりなのに!もしかして私のせい!?周りを見回すとさっきとは別の意味でざわざわしだす。野次馬も多い。これはまずい。


「ノア、待って!」


ノアに抱きついて必死に止めようとする。でも、ノアは一言。


「大丈夫。僕は冤罪だけはやらかさないから」


というと断罪劇を続けてしまう。そう、ノアは冤罪だけはやらない。ということはつまりルーク様とアリア様、あるいはその周りの人が何か罪を犯したということ。でも、幼馴染同士でこんなの、あんまりです!なんとか止めないと!


「ねえ、ノア!やめて!」


「ごめんね、やめない…こんなことになるなら最初から排除しておくべきだったね、ごめん」


切なげに瞳を揺らし私を見つめるノア。そのあと真っ直ぐルーク様とアリア様に向き合う。


「一体俺たちに何の罪があるって?」


「…ああ、そうか。ルークは知らないうちに巻き込まれてたんだったな」


「え?」


ルーク様がアリア様を見つめる。アリア様は血の気が引いたような顔色になっている。


「ルーク、お前は他の貴族の贈賄やら不正やらを暴くことで王家に忠誠を示して家を盛り立てただろう?」


「ああ」


「それで伯爵家にまで上り詰めたよな」


「そうだが?」


「その噂や証拠の品は全部アリアからもらったんだよな」


「…ああ」


どんどんルーク様の顔色も悪くなります。まさか、という顔でアリア様を見つめます。アリア様は黙ったままです。


「それが捏造だって証言をまとめた資料や証拠の品もここにあるんだけど?」


「…え」


ルーク様が信じられないものを見る目でアリア様を見つめる。今まで信じていた全てが根底から覆ったような、そんな絶望的な表情で。


「アリア様、嘘ですよね?」


「…」


「アリア様!」


否定して欲しい、そんな必死の叫びでした。しかしノアは冤罪だけはやらないのです。これは影の人達に調べてもらった信用に足る証拠なのでしょう。…ルーク様が可哀想です。


「わ、私はただノア様のお側にいたくて…そのための手駒が欲しかっただけなの!大体何年も前のことでしょう!時効よ!」


「そんな…!アリア様、なんてことを!」


きっとルーク様にとってのアリア様は真面目で不正をそのままにしておけない高潔な人だったのでしょう。しかしその仮面は剥がれてしまった。ルーク様の絶望はどれほどのものでしょう…。


「ルーク様…」


「!ユリちゃん、心配してくれるの…?」


「もちろんですわ。私達、お友達ですもの」


「…ユリちゃん、ごめん」


「え?」


「ごめん…!」


ルーク様が何を謝っているのかわからなくて混乱しているうちに、王太子殿下がノアの持ってきた証拠に目を通し、アリア様とルーク様を衛兵の皆様に連行させていってしまいました。私は結局、せっかく出来たお友達を失うばかりか、ノアから大切な幼馴染を奪ってしまいました。


「ノア…」


「ごめんね、ユリア」


「いいの…私こそごめんなさい…」


「ユリアは何も悪くない」


ノアがそっと抱きしめてくれます。本当に泣きたいのはノアの方なのに、それでも私は涙が止まりません。ごめんね、ノア。


「ご苦労様、ノア」


王太子殿下がノアに話しかけます。私は急いでノアから離れようとしますが、ノアが強く抱きしめて離してくれません。


「の、ノア!」


「いえいえ、王太子殿下のお力になれたのなら幸いです」


「また心にもないことを…全部そこのユリアナ嬢のためだろう?」


「まあ、もちろんそれもあります」


「ちょっとノア!」


何言ってるの!


「あはは。仲がいいようでなによりだ。この分だと噂は所詮噂ってことみたいだな。みんなー、あんまり根も葉もない噂を流しちゃだめだぞー。特に後ろ暗い所がある子はな」


冗談めかして仰る殿下ですが、会場はシーンと静まり返ります。


「ま、これからもこの調子でよろしく頼む」


「仰せのままに」


そうして殿下は離れていきます。会場は徐々に賑わいを取り戻していきます。…が、もう変な噂は出てきません。ルーク様とアリア様の話すら話題に上がらないのです。


「じゃ、ユリア、一緒に踊ろう!」


「え!ちょっと待って、ノア!」


強引に誘われて一緒に踊ります。ちょっと強引ですが、ノアなりに励ましてくれているのだと思います。


「…ありがとう、ノア」


「どういたしまして!楽しいね、ユリア!」


「ええ、とっても!」


お友達がいなくなってしまったのは悲しいですが、ノアが側にいてくれて本当に良かったです!

ルークは可哀想

アリアはざまぁ

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