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84 楽しい入浴

入浴



「おふろ~おふろ~」


嬉しそうに風呂場に入る千鶴ちゃん。なんだかこっちまで楽しくなってくるが俺は千鶴ちゃんに言った。


「あんまりはしゃぐと危ないよー」

「うん!」

「千鶴ちゃんご機嫌だね」

「だって、おにいちゃんとおふろたのしみなんだもん」


そう言ってくれると嬉しくなる。果たして何歳まで一緒にお風呂に入ってくれるのか難しいところだが、こうして幼い頃に一緒に入れることは凄く貴重な体験だと思う。まあ、そのうち反抗期で口もきいてくれなくなるかもしれないけどね。


でも、それならそれでいいんだ。


そうして普通に元気に育って幸せになってくれることが何よりの幸せだからね。いつかはこの子も好きな人が出来て結婚して嫁にいくかもしれない。でもそれは決して悲しいことではない。父親としては複雑でもあるけど、千鶴ちゃんが好きな人と幸せになれるならそれ以上は望まない。


「おにいちゃん?」


そんなことを考えてしまったのでリセットするようにため息をついてから千鶴ちゃんに言った。


「お風呂入る前に体洗わないとね」

「うん!」

「いつもは体は自分で洗ってる?それともママに任せてる?」

「えっとね、さいきんはあたまいがいはじぶんであらってるよ」

「おお、偉いね」


そうなると俺も自然と頭を洗ってあげるべきだろう。千鶴ちゃんの髪は長いから手入れも大変そうだけど、先生譲りの綺麗な髪なのでなんとしてもこの状態を保たないといけない。


そうして頭を洗うが、シャンプーハットはいらないようで大人しく千鶴ちゃんは髪を洗わせてくれた。思えば海斗はこの年の頃はシャンプーハットなしではシャンプーが目に入ってしまいしょっちゅう泣いてたことを思い出して笑ってしまう。


そうして俺もささっと全身洗ってから二人で湯槽に浸かる。元々二人用なのか広めの浴槽は俺と千鶴ちゃんではスペースが余ってしまうが、千鶴ちゃんは俺の膝に乗っかって気持ち良さそうに言った。


「ふー、ごくらくごくらく」

「それ誰に習ったの?」

「えっとね、まま」


随分とオッサンくさいことを教えた先生に思わず苦笑してしまうが、そんなことは気にせずに千鶴ちゃんは言った。


「ままね、おふろではいつもおにいちゃんのはなしするの」

「どんな話?」

「えっとね、いろいろ」

「そっか」


なんとなく先生から想われていることに嬉しくなりつつも俺は千鶴ちゃんの頭を撫でて言った。


「またこうして千鶴ちゃんとお風呂に入れるといいね」

「うん!たのしみにしてる」


次はいつになるのかわからないが、こういう時間も悪くないと思うのだった。







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