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80 テスト終了

テスト終了


「終わった・・・」


テスト期間終了。自己採点では過去最高得点になることは間違いなしの晴れ晴れとした気分で机に沈んでいると先生が入ってきてこちらを手招きして言った。


「巽~、やりきった顔してるところ悪いがちょっと来てくれ」

「お呼びだぞ?」

「わかってる」


せっかくのテスト終わりなのに何をやらかしたのかとクラスメイトから哀れみの目で見られるけど、気にせずに着いていく。やがて空き教室に着くと誰もいないことを確認してから先生は言った。


「お疲れ様。テストはどうだった?」

「ええ、なんとかなりそうです」

「そうか・・・確かに私の教科を簡単に見たがいつもより出来てるようで安心したよ。しかし、そんなに必死になって何を望むんだ?」

「それは、結果発表されてからにしませんか?俺もここでは恥ずかしいので」


別にいかがわしいことは何も頼むつもりはない。俺がやってみたいことを頼むだけだ。そんな俺の言葉に先生は笑って言った。


「わかった。なら待とう。今日はこれから帰るのか?」

「ええ、先生はお仕事ですよね?」


そう聞くと先生は少しだけ寂しそうに微笑んだ。


「なんだかお前に先生と呼ばれると寂しくなるな」

「お互い様です。先ほどの名字呼びはさりげにきますから」

「そうか・・・隠すとはなかなかに辛いものだ」

「ええ、まったく」


皆よく隠れて恋愛できるものだ。こうして互いの呼び方だけでこんな気持ちになるのに隠すとはなかなか酷な話だと思うけど、必要なら我慢するしかない。


「あの・・・ここで聞く話かわかりませんが、お昼はどうするつもりですか?」

「どうって、仕事あるからそれの前に済ませるだけだ」

「そうですか・・・迷惑じゃなければ屋上で食べませんか?天気もいいですし、幸いテスト期間で皆早く帰ってますし」


我が儘なのはわかっているがそんなことを聞いてしまう。そんな俺の我が儘に先生は微笑んで言った。


「屋上は立ち入り禁止だぞ?」

「わりと皆守ってませんよ」

「まったく・・・教師としては失格だが、確かに私も誰かさんと一緒に食べたいと思ってたところさ」


そう言ってから背を向ける先生。扉を開く前に先生は言った。


「弁当をとってくる。お前は帰りの準備をして弁当を持ってこい」

「はい。待ってます」


その言葉に笑ってから出ていく先生。俺もしばらくしてから教室を出てクラスへと向かう。皆が帰り始めているので人気は少なく、それでも先生とのお昼という楽しみができたので俺の足は軽かった。これくらいのことではしゃぐ俺もまだまだ子供なのだろう。



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