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8 味の感想

観察は大事です( ´∀`)



「「いただきます(・・・ま、ます)」」


久しぶりに何人かで同時に合掌しての食事。少なからず俺はそれを楽しいと思ったのかもしれない。これが紙の皿や割り箸でなければもっと良かったのかもしれないが・・・そんな贅沢は気にせずに俺は食べる二人の様子を窺うことにした。


まず、真っ先に肉じゃがに手をつけた先生。先生は肉じゃがを頬張ってからご飯を豪快に掻き込んでいた。なんとも体に悪そうな食べ方だが、食事くらい好きにさせたいので俺は黙って見ている。まあ、それに先生らしいので俺としてはわりと評価高いポイントだったりする。


次にそれとは対照的におっかなびっくり味噌汁を飲んでから熱かったのか「あちっ」と可愛らしく舌を出す千鶴ちゃん。それでも飲んでから顔を輝かせて、その後に卵焼きを食べて満足そうに微笑むのを見ているとなんとも幸せになれる。


だがしかし・・・俺が欲しかったのはその情報ではない。

もちろんリアクションは大切だしモチベーションの意味では嬉しいが・・・俺が今必要なのは二人の好みの問題だ。


今回のメニューは野菜は少なめで味噌汁と肉じゃがにしか入れてないが・・・どの程度なら食べられるのかを試してみたかったのだ。野菜嫌いにも生でなければ食べられる人と、火を通してもダメな人がいるが、大雑把に感覚をつかみたいのだ。


まあ、他にも味噌汁の濃さや卵焼きの味付けなどの項目があるが・・・二人の反応は概ね良好と言ってもいいだろう。


「うん!やっぱりお前の料理は美味いぞ」

「それはどうも・・・毎日飲みたくなる味噌汁でしたか?」

「おう!」


豪快に逆プロポーズを受ける先生。あれ?俺が男だからプロポーズでいいのか?なんだか先生の前だと俺が女々しく感じてしまうのでわからなくなるが・・・これはきっと先生が特別なのであって俺は普通なんだよね?ね?


「えっと・・・千鶴ちゃん。どうかな?」

「・・・!お、おいしい」


まだまだ壁があるとはいえ千鶴ちゃんも一応俺と話してくれることに僅かな感動を覚えてしまう。いや、この程度で感動していたら埒があかないだろうが・・・小心者の俺からしたら大きな一歩なのだ。


まあ、そんな会話をしつつも俺は情報収集に勤しむ。


先生は肉じゃがも味噌汁も野菜を普通に食べてるからおそらく火を通してあれば大丈夫なのだろう。千鶴ちゃんは・・・味噌汁の野菜は少し苦手なのか一瞬顔色が変わったように感じる。でも普通に肉じゃがは食べてるからおそらくしっかりと味が染みていれば気にしないのかもしれない。


そんな風に分析をしていると先生は苦笑気味に言った。


「お前は意外と真面目だよなぁ」

「真面目ですよ?これでも優等生ですから」

「いつも学年平均の分際で優等生気取るなよ。まあ、お前の料理は美味いから自信もて」


励ましてくれているのだろうか?気負わずに出来ることをしろと言われているような気がして先生の優しさに思わずトキメキそうになるが・・・いや、この程度で靡くなんてそこまでチョロくないつもりなのできっと気のせいだ。うん。


そんな風に和やかに食事は続いた。

まだまだ一日目にしては悪くない滑り出しではあるが、俺はこれからもっと二人と仲良くなるために頑張ろうと思ったのだった。



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