709 義両親襲来
お義母さん
「きゃー!可愛すぎるー!」
「こら、少し落ち着いて」
次にやってきたのは、義両親だった。桜を見て大はしゃぎなお義母さんを宥めつつも、お義父さんも桜を見て嬉しそうに頬を緩めた。
「遥香、体調は大丈夫かな?」
「ああ、健斗のお陰でな」
「そうか、健斗くん。ありがとう」
「いえ、大切な妻ですから」
あれだけ騒いでいるお義母さんが側にいても、桜のご機嫌は悪くならずにむしろお義母さんを見て笑みを浮かべていた。なんというか・・・器の大きさを垣間見たよ。きっと、あれは遥香の血筋に違いない。俺にはそこまでの器量はないと思うしね。
「けんちゃん、けんちゃん。立会い出産したのよね?」
「ええ、まあ」
「どうだったの?私の時は、この人仕事があるからって来てくれなくて〜」
「そ、それはもういいでしょ」
まあ、お義父さんも仕事あっただろうし、それは仕方ないだろう。とはいえ、感想を求められてもなぁ・・・
「とにかく、必死だったので、遥香が俺たちのために頑張ってくれてるのを少しでも支えたいってただそう思ってました」
「お前のお陰で頑張れたからな」
「いえ、遥香が頑張ってくれたから」
なんとなく微笑みあってしまう。そんな俺たち夫婦を微笑ましそうに見つめるお義母さんだが、お義父さんはどこか気まずそうだった。多分、お義母さんの時に出産の立ち会いを出来なかったのを少し気にしてるのだろう。
「ふふ、にしても、ちーちゃんの時も思ったけど、孫は可愛いわねぇ。桜だから、さっちゃんかしら?さっちゃーん。お婆ちゃんですよー」
「あうー」
桜でさっちゃんという呼び名は凄いけど、まあ、本人が良いならいいか。
「それにしても女の子か・・・大きくなったら健斗くんは男一人で大変そうだな」
「体験談ですか?」
「嫁と娘は可愛いが、男の子も欲しかったな」
「ウチもそのうち出来ればいいかなって感じです」
男の子に関しては、気長に待つとする。出来なくてもいいけど、遥香との息子というのも見てみたいものだ。そうして、孫を堪能していた2人だが、千鶴が帰ってきて妹を可愛がる姿を見るとなお幸せそうな様子だったのは仕方ないだろう。だってさ、千鶴ったら初めての妹で凄く可愛がってて本当に見てて幸せになれる光景なのだ。
そういえば、俺が海斗の世話をしてる時やけに祖母が微笑ましそうにこちらを見ていたことが一時期あったが、こういう事なのかもしれないな。可愛い孫が下の妹弟の面倒を見てるのは、なんとなく微笑ましいのだろう。




