706 上級者
早速
「あーうー」
「さくら〜、おねえちゃんですよ〜」
「うー」
「かわいい・・・!」
そんなやり取りをする我が娘たち。どっちも可愛いのだが、千鶴は初めて出来た妹が可愛くて仕方ないのだろう。お見舞いに来ると桜に頑張って声をかけてる姿を良く見かける。
「体調は大丈夫ですか?」
「ああ、思ったより普通に戻ってるよ。にしても・・・ちーちゃん幸せそうだな」
「初めての妹ですからね」
「それもあるが、今は夜お前を独り占めだろ?狡いな」
「もうすぐ退院なんですから、我慢してください」
可愛い拗ね方をする嫁が愛しくて思わず微笑んでしまう。
「う〜」
と、そんな風に娘たちを見守っていると、桜がぐずりだした。遥香と千鶴が動くよりも早く俺は桜の元に行くと、直ぐにオムツを確認する。予想取りオムツでぐずっていたので早々に変えると、何故か遥香が驚いたような顔をしていた。
「なんか・・・手慣れてきたな」
「そうですか?まあ、これでも父親ですからね」
「それによく、桜がオムツで機嫌悪くなったの気づいたな。私ははどっちか分からなかったぞ」
「んー、それはなんとなくですかね」
授乳の時間とか判断材料は色々あるにしても、赤ちゃんという生き物は行動が読みにくいものだ。とはいえ、何日か桜の様子を側で見てきた経験からなんとなく予測が出来たというだけなのだが、それを言っても遥香は不思議そうな表情を浮かべたままだった。なぜ?
「パパ、ちーにもこんどやらせて」
「勿論いいよ。ありがとうね」
「えへへ・・・」
率先してお手伝いを志願してくれる我が娘。本当に気の利くいい子に育ってきたものだ。頭を撫でると嬉しそうにはにかむ姿は本当に天使みたいに可愛いものだ。桜も天使だし、遥香は・・・女神かな?天使の時と小悪魔な時と女神の時があるから、断定は難しいものだ。
まあ、勿論、千鶴だけ構うと遥香が拗ねるので、そちらのフォローも忘れずに行う。夫と父親、なかなかバランスを保つのは難しいのだろうが、俺としてはどっちも目一杯愛でるようにしてるので、そこまで大変だとは思わない。嫁も娘も可愛くて仕方ないからね。
「・・・ずるい奴め」
「遥香も十分ズルいですよ」
俺のさり気ないフォローに関してのセリフなのだろうが、俺としては遥香の小悪魔っぷりや、可愛さの方が何倍もズルいと思う。反則的なほどに愛おしくなるもの。まあ、天然でそれらをやれる嫁と娘はやはり最強なのだろうとしみじみ思いながら、ご機嫌そうな桜を見て頬を緩ませるのだった。




