688 妹分からのプレゼント
薫ちゃんターン
「じゃあ、プレゼント私から渡すね。はい、健斗くん」
ケーキを和やかに食べていると、そんな風に切り出して俺にプレゼントを渡してくる薫ちゃん。向かいでは、雅人が水瀬さんにケーキを食べさせて貰って甘々な空気を作ってるが・・・俺の誕生日祝う気あるのだろうか?忘れてた俺が言うのもなんだけどさ。なんか、甘々でお腹いっぱいになりそうだけど、幸せそうなので何よりだ。
「ありがとう、薫ちゃん。なんだろ・・・」
可愛らしいラッピングを解いてから、箱をあけると、何故か栄養ドリンクがぎっしり入っていた。
どうりで大きめの箱だと思ったよ。なんかずっしり重くて割れ物が入ってそうな感じがしたけどさ・・・
というか、誕生日プレゼントに栄養ドリンクってなかなか凄いチョイスだが・・・
「健斗くん、これから子育ても増えて大変でしょ?だから、倒れる寸前まで動けるようにね」
「うーん・・・ありがとう」
気遣いは凄く嬉しいが、素直に喜んでいいかに関しては別途相談したいものだ。
「青汁とかの方が良かった?」
「健康とかには良さそうだけど、そういうチョイス?」
「だって、きっと他の人は調理器具とか食品プレゼントするだろうし、被らないならその辺じゃない?」
不思議だ、誰も小物とかプレゼントする感じがないのは。まあ、雅人からアクセサリーとか貰うと変な誤解されるだろうし、そういうチョイスは望んでないけどさ。
「来年ならお酒渡しても良さそうだよね。健斗くん20歳になるし」
「今年のプレゼントから少し遠い位置にあるチョイスだけど・・・未成年じゃ買えないでしょ?」
「そこはほら、親と買いに行けばいいし。それに・・・酔った健斗くんは需要ありそうだしね」
チラッと薫ちゃんが視線を向ける先では、少し期待してる遥香と千鶴の姿があった。え?なんで?
「でも、健斗くん成人してもあんまり自分からお酒飲まなそうだよね」
「んー、まあ自分で飲むには高いからね」
遥香の晩酌に付き合う程度ならいいけど、そこまでガッツリ飲もうとは思わないかな。
「そもそも、健斗くん19歳で2人の子持ちって凄いよね。人妻感が半端ない」
「いや、人妻ではないけどさ・・・」
人の夫ではあるが、人の妻では断じてない。
というか、まあ、確かに珍しいかもしれないけど、そこまでレアでもないでしょ?
好きな人とこんな感じで一緒に居られる。
それが何より素敵なことだし、それが1番大切なことだからね。
なお、栄養ドリンクは今後地味に役立ったことだけはここに記しておく。




