664 パパ友との交流
パパ友?
「健斗さん」
千鶴を保育園へと送ってから、遥香を迎えにいくまでの時間を運動会の設営準備の手伝いに向かうと、そこには最近知り合ったレナちゃんと後輩の父親である葵さんが変わらぬ女装でそこにいた。
「葵さん、おはようございます。葵さんも手伝いですか?」
「せっかく娘の運動会に参加出来るので、お手伝いしようかと思ったんですけど・・・」
「けど?」
「誰も、私のこと男だと分かって貰えず、普通に女親だと思われたようで皆さんに追い出されました」
多分、その方たちに悪気は無かったのだろう。あまりにも葵さんの女装姿がハマりすぎて、下手したらレナちゃんのお姉さんとでも思われたのかもしれない。まあ、去年からの付き合いだが、こういうの設営とかの手伝いをしてくれる父兄の方とはここ1年でそれなりに仲良くなったけど、皆いい人が多いから、無理に女性の手をわずわせないよう気を使ったのだろうと推察する。
力仕事も結構あるし、運動会となると、お弁当の準備やらで女性の親御さんが忙しいのは承知してるので、自然と空いてる男性でやろうという風潮になったらしいが、葵さんがどうやって見ても男には見えないので柔らかく退場して貰ったのだろう。
「葵さんはレナちゃんの運動会、今回が初めてなんですよね?」
「ええ、何分仕事で忙しかったもので。複数店を持ってて、どの店も軌道に乗る前だったので、落ち着いた今回ようやく参加出来ます」
「それは良かったです」
葵さんは、あのメイド喫茶以外にもいくつかのお店を持ってるそうだ。俺も空いてる時間のお仕事を少し紹介して貰っただけだが、どの店も繁盛してるようだ。まあ、比例して葵さんも仕事が忙しいのだろうが・・・葵さんも仕事大好きな人種なのでそれは苦ではなさそうだ。
「健斗さんのところも、今回奥様が来るんですよね?」
「ええ、仕事も休みが取れたみたいなので」
「凄いですよね、教師のお仕事されてるとか」
「ええ、自慢の嫁です」
あ、思わず本音が。惚気っぽいかな?そんな俺の言葉に葵さんはクスリと笑って言った。
「夫婦仲円満のようで何よりです」
「葵さんの所もそうなんじゃないですか?」
むしろ、妻のためにずっと女装してるとか、ある種の惚気じゃないかと思う。
「ええ、ウチももう1人くらい、欲しいなと思いまして。今度は男の子で弟もいいかもしれませんね」
「多分、片方の娘さんは妹希望ですよ」
「かもしれませんね」
うん、後輩だったら多分そうだろう。そんな感じで話していたら準備をあまり手伝えなかったが・・・まあ、葵さんと少し話せたのは良かったかな?何気にお世話になってるし。




