65 旅行に行きたくない
フラグです
「どうだ、テスト勉強は?」
千鶴ちゃんが寝てからの恒例の晩酌で、今日の報告をしてから色々あってからそんなことを聞いてくる先生に俺は笑顔で言った。
「問題ないです。最近は学校でみっちり勉強してるので」
「よく頑張るな。そんなにご褒美が魅力的か?」
「もちろん。なんでもいいんですよね?」
「言うだけ言ってもみればいいさ。まあ、達成したらだしな」
そう言ってからビールを飲んでから先生は思い出したように言った。
「そういえば、来月は修学旅行か。学生にしたら楽しみか?」
「修学旅行?」
「まさか忘れたとか言わないよな」
「すいません。思いっきり休むつもり満々でした」
そう、来月は修学旅行がある。三泊四日で行き先は東京。この時期に行くのはどうかと思うがまあ、お堅い場所を少しだけ触ったらほとんどフリーの楽なものだが、俺は休む気満々だった。だってそんなに家を空けたくないもの。
「仮にも担任の前で堂々と仮病宣言するなよ」
「経済的な理由での欠席です」
「屁理屈を言うが・・・もしかして、ちーちゃんのこと心配してるのか?」
「ええ、それはもちろん」
そんなに長い期間家を空けるというのは千鶴ちゃんをひとりぼっちにするのと同じだ。先生は担任だから休むわけにはいかないし、俺ならその理由で休めばなんとかなるのでそう言うと先生は苦笑しながら言った。
「大丈夫だ。その期間はちーちゃんの面倒を妹に見させるから」
「妹?遥香さん妹がいるんですか?」
「ああ、弟もいるぞ。ちなみに既婚者だからな」
「言われなくても何もしませんが・・・家事できるんですか?」
「一通りな。お前ほどではないが器用な奴だ」
先生の妹か・・・やっぱり似てるのかな?
「だから安心して楽しめ。たまには大人にいい格好させろ」
「遥香さん・・・まあ、千鶴ちゃんが本当に大丈夫なら行きますけど。確かに遥香さんのことも心配ですから」
「私に心配?」
「ええ、遥香さん美人だからナンパとかされそうですし、秘めた恋心を爆発させた青少年に襲われるかもしれないし、同じ教師にセクハラされるかもしれないし、修学旅行はとにかく心配なんです」
かなり過保護な気はするが、そんなことを考える俺に先生は笑って言った。
「エロ本の読みすぎだ。そんなことがあれば大きな事件になるさ。それに私を誰だと思ってる?そんな下心のある奴ならはじめのうちに排除してある」
「そうなんですか?」
「ああ。だから、安心して楽しめ」
そう言われてからホッとするが、それから思い付いたことを口にしていた。
「それなら、お願いしてもいいですか?」
「なんだ?」
「個人行動の時間は俺と過ごしてください」
「見回りがあるのをわかっていて言ってるな?」
「ええ、少しでいいので一緒にいたいんです。班行動も雅人なら上手くやるでしょうし」
「バレたら面倒なことになるがいいのか?」
確かにそのリスクは高いが・・・
「バレたら、婚約者とでも言って誤魔化すか、退学して先生の元にすぐ行くのでお願いします」
「はぁ・・・まったく。お前は時々凄い大胆になるよな」
そう言ってから先生は苦笑しながら言った。
「わかった。それならきちんと私をエスコートしろよ?」
「はい。もちろん」
千鶴ちゃんのことは心配だけど、先生と行ける修学旅行が少しだけ楽しみになるのだった。




