63 ママ友との恋話
ノロケなのかな?
「はい、ちづるちゃん。あーん」
「あーん」
二人でミニパフェを食べさせ合いする千鶴ちゃんと凛ちゃん。なんとも可愛い絵で仲良しという感じでいいのだけど、友達ばかりに目がいくとお父さん少しだけ寂しいです。
「そういえば、健斗くんは彼女いるの?」
そんな風に仲良しの二人の側で何故か俺はそんなことを律子さんに聞かれていた。これはなんと答えるべきだろうか。彼女というか嫁候補というのか、なんとも言いがたいが強いて言うなら婚約者とか?まあ、とはいえそんなことを言えば根掘りはほり聞かれそうなので、言葉を濁すことにする。
「彼女はいませんね。残念ながら」
「そうなの?健斗くん優しそうだし、家庭的でモテるかと思ったのだけど」
なんとも優しいお言葉に涙が出そうになる。モテない容姿なのに気を使ってモテそうと言われるのはなかなか辛い。まあ、本当にモテる親友がいるから今さらその程度のことで傷つきはしないけど。
「俺なんて全然。本当にモテる親友が近くにいるので、金魚のフン扱いですよ」
「そうなの?勿体ないわね。私が未婚なら健斗くんを貰ったかもしれないわ」
「俺なんかより素敵な旦那さんがいるんじゃないですか?」
「素敵ね・・・まあ、確かに旦那のこと好きだけど、付き合ってた頃とは別なのよね」
「別?」
そう聞くと律子さんは笑いながら言った。
「付き合ってた頃は格好いいところばかり目に入ったのよ。でも、結婚すると粗が目立つというか、悪いところが目につくようになるのよ」
「あー、なるほど」
確かに男女の付き合いと、結婚とではかなりの差があるので、それまで見えてた部分とは別のところが目立つようになるのだろう。その落差で離婚する夫婦も少なくないだろう。
「同棲とかはしなかったのですか?」
「お互い、その前に結婚したからね。でも後悔はないわね」
「そうなのですか?」
「ええ、だってどれだけダメなところを見ても私が好きになった旦那が霞むことはないもの」
なんとも格好いい台詞に俺は思わず内心で拍手をおくる。こんなにきっぱりとそういう台詞を言えるのは凄いと本気で思う。
「まあ、でも浮気したら許さないけどね」
「ですよねー」
「健斗くんは浮気しなさそうだし、女の子は安心ね」
「まあ、こう見えても一途ですから」
先生以外に行くことはあり得ないだろう。それに今は半分同棲状態なので、お互いのことをわかってきているので、俺としては特に問題はない。先生が俺の許せない箇所を見つけたら直すけど、俺から先生に直して欲しいことは特にない。良いところも悪いところも全部ひっくるめて先生のことが愛しいからだろう。そんな風に先人の意見を聞きながら恋話?をするのだった。




