56 お父さん公認
お父さん公認に( ´∀`)
「あれ?終わったの?」
千鶴ちゃんの飲み物を取りにくると、何故か台所で二人が並んでいたのでそう聞くと、その声に反応して二人が言った。
「丁度よかった。どうやって熱いお茶いれればいいか教えてくれ!」
「ごめんね健斗。お父さんわからないわぁ」
「・・・はい?」
よく聞けばお茶を入れようにも何をしたらいいかわからないと言う。まさかここまで壊滅的だとは思わなかったので少しだけ驚くが俺はそれよりも二人だけしかいないとこが気になった。
「海斗は部屋にいるの?海斗なら俺の側で見てるから最低限のことはできると思うけど・・・」
「あーその、なんだ、少しだけ言い過ぎてな。出ていった」
「はい?」
「ごめんね、健斗。お父さんじゃあの子止められなくてね」
「・・・えっと、とりあえず話は終わったの?」
そう言うと先生は笑いながら頷いた。
「なんとかお義父さんには認めてもらったよ」
「そうなんだ・・・ん?お義父さん?」
「遥香さんのことは一応認めたわ。でも、ちゃんと卒業したら結婚するのよ」
「わかってます、お義父さん」
何やら距離が縮まっているが・・・会ってすぐに父さんとここまで近くなれるこの人の対人スキルの高さに改めて驚かされる。流石教師というか・・・
「夕飯はどうするか決めてるの?」
「えっと、一応作ってから遥香さんの家に戻ってとるつもりだったけど・・・」
「せっかくだしここで食べていったら?」
「俺は構わないけど、遥香さんと千鶴ちゃんは大丈夫かな?」
そう聞くと先生は頷いて言った。
「お義父さんからのお誘いなら構わないさ。ちーちゃんも私とお前が側にいれば大丈夫だろう」
「なら、決まりね。遥香さんはお酒は大丈夫かしら」
「ええ、少しなら」
何やら仲良くなったようで何よりだけど・・・
「あんまり飲み過ぎちゃダメですよ。遥香さんも父さんも」
「いいじゃない、この仕事になってからこうして普通の女性とは飲まなくなったんだから。ましてや息子の嫁なのよ」
「あまり固いこと言うな健斗」
「わかってますけど、それでもお酒はほどほどにしてください。飲むなとは言いませんが、今日は千鶴ちゃんもいるんです。あんまり大人がだらしない姿を見せるのは千鶴ちゃんの教育上よくありませんから」
そう言うとしぶしぶ納得する大人二人。そういえば父さんがこうして家で誰かと飲むのは本当に久しぶりかもしれない。それこそ幼い頃にお祖父ちゃんが父さんと飲んでたのが最後か・・・まあ、どのみち二人のおつまみとお昼、あと千鶴ちゃんのデザートを作る必要があるだろうと俺は行動することにした。