52 お化け屋敷とゴーカート
ネズミの国ではない件
「た~ち~さ~れ~」
「きゃー!!」
前の客の悲鳴が聞こえてくる。場所は変わってお化け屋敷。何故子供連れでお化け屋敷に入ってるかといえば二人から熱烈な要望を受けたからだ。俺はこの手のびっくりどっきり系のアトラクションはあまり得意ではないのだが・・・
「おっと!」
「きゃー!」
「きゃーこわーい」
最後のわざとらしい悲鳴は先生だ。もはやまったく怖がってない。ちなみに千鶴ちゃんは嬉しそうに悲鳴をあげている。楽しんでいるのは明白だ。
「二人ともよく平気ですね」
「ん?怖いのか?」
「いえ、怖いというよりはこういうびっくりするのは得意じゃないというか・・・」
「そうか・・・なら、手でも繋ぐか?」
「へ?」
「ちーもおててつなぐ!」
「はい?」
何故か両側から手を取られて自由がなくなる。
「さ!レッツゴー!」
「ごー!」
そんな二人の元気な声で俺は連行されるのだった。その後も何度となく驚かされるが、二人は俺の反応も楽しんでいるようなので似た者親子だなぁと思うのだった。
「・・・で、なんで俺は一人でゴーカート乗ってるんだ?」
後ろから追ってくる先生と千鶴ちゃんの車に追いかけ回されながら俺は思わずそう呟く。しかもさっきから何度となくぶつかってくるし。こういうの不得意な俺にはかなりのプレッシャーなのだが。
「おーい!健斗!もっとスピード出せよ!」
「んな無茶な・・・」
当たり前のようにゴーカートを乗りこなす先生。やはり車の運転に慣れてるとこういうのは楽に感じるのだろうか?まあ、ゴーカートって車みたいに車の幅が大きくないから運転楽なのだろうけど、それでもこうして当たり前のように乗ってる先生は凄いと思う。
一周終わってから降りて少しだけぐったりすると、後ろから先生に背中を叩かれた。
「なんか疲れてるが、本物はもっと大変だぞ?」
「遥香さんが追い回さなければここまでぐったりはしませんよ」
「隣のちーちゃんも楽しそうにしてたぞ?」
「まあ、それなら頑張りますけど・・・」
なんだかんだ言っても千鶴ちゃんも楽しそうにしていたならいいかな。にしてもゴーカートに乗ったのは何年ぶりだろうか。結構楽しかったけど、このぐったりした感じはなかなか慣れそうにないな。
「そんじゃ、次いくか!」
そんな感じで俺たちは色々なアトラクションを巡った。もちろん千鶴ちゃんの乗れないものは乗らずにそれ以外で楽しめるアトラクションを巡った。混んではいたが凄く楽しいと感じたのはきっと俺だけではないだろう。