51 遊園地
GWは混んでる・・・
「わぁ・・・おっきい!」
「そうだね」
喜ぶ千鶴ちゃんに微笑ましくなるが、同時にあまりの人の多さに思わずげんなりしそうになる。本日は少し遠出して遊園地に来ていた。しかも泊まりの予定だ。家事をしない遠出などかなり久しぶりなのでなんとなく落ち着かないが、その前にこの人の多さに慣れる必要があるかもしれない。
「さて・・・何から乗る?」
「ちーね、まわるおうまさんのりたい!」
「回る馬・・・メリーゴーラウンドのことかな?」
「うん!」
なんとも可愛いリクエストに俺と先生がほっこり微笑むと千鶴ちゃんは言った。
「ままとおにいちゃんもいっしょ!」
「はいはい。わかったよ」
簡単に納得する先生。やはり千鶴ちゃんに甘いなーと思ってから俺は自分も誘われたことに気づく。あれ?俺も乗るの?メリーゴーラウンドに?この年で? それはちょっとなぁと思うがキラキラした瞳の千鶴ちゃんに無理とか言えないので俺は諦めて乗ることにした。
「ちー、ばしゃがいい!ままもいっしょ!」
「うん、一緒に乗ろうねー」
「おにいちゃんはおうまさんにのって!」
「いいけど・・・俺だけ馬なの?」
「うん!おにいちゃんはおうまさんにあうから」
てっきり千鶴ちゃんが馬に乗ると思っていたのでそう聞くと謎の理由で答えが返ってきた。うぁ・・・一人だけ馬車とかさらにハードル高いような。仕方ないので言う通り乗るが、周りは子供が多く俺と先生はわりと浮いていた。他の親子ももう一組は一緒に乗っていたが基本的にみんな外で我が子を眺めているのでそれがスタンダードかとため息をつきそうになる。
音楽がなり周りはじめる。意外と早いスピードに少し驚くが乗ってると少しだけ楽しくなってくる。ちらりと先生と千鶴ちゃんをみると楽しそうに乗っているのでほっとするが、しかし端からみたら高校生が一人馬に乗ってるのはかなりネタでしかないよね。
やがて音楽が終わり、回転も止まると俺は一息ついてら二人の元に向かった。
「楽しかった?ちーちゃん」
「うん!」
「そっか。よかったよ」
そう言ってから先生は俺を見て笑いながら言った。
「似合ってたよ白馬の王子様」
「王子というほど育ちはよくありませんがね」
どちらかといえば貧乏なので王族のような気高さはないと言うと先生は苦笑しながら言った。
「鈍い奴だな。私やちーちゃんから見たらお前はそれなりに素敵という意味だよ」
「それは嬉しいですが・・・柄ではないですね」
「そうかな?まあ、お前はヒロインだしな」
「いえ、そこではありませんが・・・」
そんな感じで遊園地巡りはスタートするのだった。