44 膝枕で昼寝
お昼寝タイム
「んー・・・」
「あれ?千鶴ちゃん眠いの?」
公園から帰って来て、昼御飯を食べてからしばらくして、千鶴ちゃんが眠そうにしているのでそう聞くとこくりと頷く千鶴ちゃん。
「なら、布団でお昼寝しようか」
「うん・・・」
そう言ってから千鶴ちゃんは俺のところまで歩いてくると、何故か俺の膝の上に頭を置いて横になった。しばらくして千鶴ちゃんの健やかな寝息が聞こえてきたので俺は動けないことが確定した。
「千鶴ちゃん」
「すー・・・すー・・・」
「ダメか」
まあ、寝てしまったのは仕方ないので、起きるまでこのままでいるしかないが・・・起きるまで暇だな。
「勉強でもしようかな」
そう思ってテキストを取ろうとするがギリギリ届かない。うん、膝を浮かせば届くかもしれないけど、流石にそれは千鶴ちゃんが可哀想なので自重する。しかしそうなると出来ることは限られるな。
(そういえば・・・こうして誰かに膝枕するのは久しぶりかもしれない)
小さい頃は弟の耳掻きをするためにしてたりしたが、弟以外にこうして膝枕するのははじめてだ。ん?はじめて・・・
(あ、これアカンやつか)
前に千鶴ちゃんと手を繋いだ時に、先生は少なからず嫉妬を抱いていたことを思い出してやってしまったことを自覚する。これは今度先生にも膝枕しなきゃいけないのかな。でも俺の膝枕なんて気持ちいいのかな?男の膝枕って人にもよるけど硬い印象が強いからあんまり気持ちいい気はしないが・・・好きな人なら別なのかな?
「俺も膝枕されてみたいものだ・・・」
膝枕なんて産まれてこのかたされたことが一度もないので少しだけ憧れる。先生の膝枕か・・・あれ?そういえば前にご褒美に膝枕ねだったらオーケーしてくれたような気がする。その約束をまだ果たしてもらってないが・・・ゴールデンウィーク中には叶えたい目標にしよう。
「うぅん・・・」
むにゃむにゃしながら眠る千鶴ちゃん。頭を撫でてあげると安堵したように寝息をたてるのでそんな姿も可愛く思える。
(やっぱり子供は可愛い)
いずれはこの子の父親になりたいと心から思う。自分の子供として育ててあげたい。一緒に家族としての時間を過ごしたい。遥香の子供だからだけじゃない。この子を自分の家族にしたいという気持ち。たとえ血が繋がってなくても本当の家族になりたいと心から思う。
(そして、結婚式で号泣したいものだ)
いい人を見つけて幸せになってほしい。父親としては複雑な気持ちになるけど、でも心から幸せだと思える場所にいて欲しいと思う。そんな風に未来に思いを馳せながら俺は千鶴ちゃんの寝顔を眺めるのだった。