43 初日は公園
懐かしの公園( ´∀`)
ゴールデンウィーク初日、土曜日の本日は先生が部活で学校へと行っているので、俺と千鶴ちゃんのみだ。前なら千鶴ちゃんが可哀想な状況だったが、今は・・・
「ふんふんふーん♪」
「千鶴ちゃんお待たせ」
「うん!」
玄関で待っていてくれた千鶴ちゃんにそう言うと嬉しそうに頷く。うん、やっぱりかなり慣れてくれたようで嬉しい。本日は近くの公園まで二人で出掛けることになった。そしてそれ以外に嬉しい変化は
「よし、行こうか千鶴ちゃん」
「うん、おにいちゃん!」
そう、千鶴ちゃんが俺のことをお兄ちゃんと呼んでくれるようになったのだ。お父さんまでの道のりは遠いが、それはあと一年以内になんとか達成したい。まあ、対外的な周りの人にはこの呼び方の方が違和感ないしね。
そんな風にして近所の公園へと向かう。あまり大きくはないが子供が遊ぶには十分な広さの公園。砂場に、ブランコ、シーソーに滑り台、鉄棒、あとはタイヤが半分埋まってるように見える跳び箱。なんとも懐かしい光景に思わず微笑むと千鶴ちゃんが首を傾げた。
「おにいちゃん、どうかしたの?」
「なんでもないよ。そういえば千鶴ちゃんは公園では何で遊ぶの?」
「えっと、すなでとんねるつくったり、たいやのうえにすわったりするの」
なんとも可愛いが、タイヤの使い方を間違っているのは黙っていよう。にしても砂遊びか・・・しっかりとやったのはいつ以来だろう。そもそも高校生になると公園という場所はリア充の暇潰しスポットという印象が強くてあまり行かないからな。
「おにいちゃん、いこう」
「ん?うん、そうだね」
俺は千鶴ちゃんに手をひかれて公園に入る。午前中だからか公園にはあまり人気はなく、ほとんど貸切状態だった。
「とんとん、とんとん」
砂場に着くと千鶴ちゃんは一心不乱に砂山を作りはじめた。あまりにも真剣なので手を出すのは無粋かと思ったが、見守ってるだけというのも寂しいので手伝うことにする。そうしてしばらく格闘すると千鶴ちゃんご所望のトンネルが出来上がった。
「こんなにはやくできたのはじめて」
「そうなの?」
「うん!ありがとうおにいちゃん」
嬉しそうに笑う千鶴ちゃん。少しでも役にたてたなら良かったと思っていると、千鶴ちゃんがふと、視線をブランコに向けてからポツリと言った。
「ぶらんこ・・・」
「やりたいの?」
「・・・うん」
「それじゃあ、やろうか」
「・・・うん!」
そうして次はブランコへと向かう。久しぶりに見るブランコというのは意外と小さく感じるが俺が大きくなっただけなのだろう。
「じゃあ、いくよー」
そう言ってから千鶴ちゃんの背中を優しく押す。キーキーという音をたてながらブランコに乗った千鶴ちゃんが行ったり来たりする。
「あははは!たのしい!」
無邪気にはしゃぐ千鶴ちゃん。こんなに純粋に反応されるとこちらも嬉しくなる。そんな風にして午前中一杯は千鶴ちゃんと公園で遊ぶのだった。