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39 テスト勉強

「あれ?なんで昼休みまでノートとにらめっこしてるんだ?」


本日も弁当箱からおかずを盗んでいく親友の雅人は俺の様子をみてそう聞いてきた。


「ちょっと勉強に目覚めてね」

「一発でわかる嘘をつくな・・・さては黒羽に捨てられたか?」

「縁起でもないこと言わないで」


正直、先生から愛想つかされたら生きていく自信がない。なんとなくの関係からでも俺は先生のことを大好きになってしまっているので、捨てられたら女々しくなってしまうのは自然なことだろう。うん。


「ま、お前みたいな隠れた物件を放り出すわけないか。となると・・・黒羽に何か言われたか?」

「なんでそう思うの?」

「お前が勉強する理由で直近だとそれが一番可能性高いからな。まあ、でもおそらく命令ではなく、ご褒美か何かってところか?」


そこまで俺のことを理解している親友に背筋が寒くなるが、俺はため息をつきながら言った。


「次のテスト、学年で50位以内ならご褒美がもらえるんだよ」

「50位か・・・微妙に高いな」

「まあ、俺は元々平均くらいだからね」


一学年200人の中で50位以内という条件。ちなみにいつもは100位前後なので一気に50人追いこさなければならない計算になる。


「それで?ご褒美はなんだ?」

「・・・言わなきゃダメ?」

「当たり前だろ。親友のことを案じる優しい俺に言わないわけないよな?」

「野次馬根性丸出しだけど・・・はぁ・・・わかった」


俺は諦めて周りを見てからぼそりと言った。


「キスだよ・・・」

「・・・・は?」

「聞こえなかったとか言わないよね?」

「聞こえはしたが、理解が遅れた。え?まさかそんなにピュアい関係を保っているとは・・・てっきり黒羽ともう寝たのかと」

「寝た・・・と言えば寝たかな?」

「は?キスがまだで、その先は体験済みだと?」

「いや、添い寝しただけだけど」


その言葉に雅人はポカーンしてから大きく笑った。


「マジか・・・ヤバい、お腹いたいわ」

「笑いすぎでしょ」

「いやいや、笑うって。普通黒羽みたいな女ならこっちから手を出すのに、向こうのペースに合わせるって、お前らしいな」

「そうか?むしろ俺は先生に心から求められたいだけなんだけど・・・」


お互いの合意の上で、先生から求められたいというのが俺の理想だ。ヘタレかもしれないが、相手の気持ちを無視してこちらの気持ちを押し付けたくはない。もちろんそういう身勝手さも時には必要だとわかるが、そういうものにはタイミングがある。だから俺からは何もしないのだ。


「ま、いいと思うぜ。むしろ早くに子供でも出来たらお前退学する必要が出てくるだろうしな」

「まあね。家事と子守りも必要だしね」

「本当に主夫向きな性格だよな。ま、応援してるぞ」

「そう、なら俺の弁当箱から唐揚げを持っていくなよ」


そんなやり取りをしながら昼食をするのだった。







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