35 親友からのツッコミ
時々、親友
「いやいやいや、たった数日でなんでそんな家族っぽいんだよ」
翌日、学校で親友と雑談しているとそんなツッコミが入る。
「何かおかしいか?」
「おかしいというか、お前の器の大きさにかなり驚いてる」
「彼女持ちのリア充に言われたくないけど・・・というか、俺別に器大きくはないでしょ?」
そう言うと親友は呆れたように答えた。
「普通、子持ちの年上相手に、そこまで尽くせる人間はそんなにいないと思うぞ」
「そう?愛情あれば皆こんなもんじゃない?」
「愛情ねぇー・・・俺の恋愛観が変わるよ」
「雅人だって、土曜日会った時に彼女とデートしてたじゃん」
「あー、あいつとはその日のうちに別れた」
さらりと言われたが、あれ?もしかしなくても俺と会った後に別れたと言われたらかなり驚く。
「今度は何が原因で別れたの?」
お節介かもしれないけど、親友のことが心配でそう聞くと親友は面倒くさそうに答えた。
「あまりにも自己中で合わなかった。お前と話した時も急かされたし、何より親友馬鹿にされて頭にきてな」
「もしかしなくても、俺のせいか?」
「そうじゃなくても別れてたさ。本当に無駄な時間だった」
そう平然と言うが、完全に俺が原因作ってるよね?タイミング悪かったなぁと思っていると、親友は気にした様子もなく答えた。
「まあ、今の彼女はわりと波長近いから大丈夫だしな」
「うん、たった数日で何人も彼女変えられるその技量に脱帽だよ」
心配して損した。
「にしても、こりゃあ完全にお前に先越されるかもな」
「何を?」
「結婚」
「まあ、俺からしたらそこはゴールじゃないからね」
結婚は人生の墓場とはよく言うが、主夫志望からすれば結婚は単なるスタートラインでしかない。本当に終わりがあるとすればそれは俺が寿命とかで死ぬときだろう。せめて孫の顔を見るまでは生きていたいものだ。先生と同じ墓に入れれば尚よし。
「結婚式は呼んでくれよな」
「うーん・・・先生がやりたがるか疑問なところだけどね」
結婚式の費用はなくはないが、もし先生が前の旦那のことを気にしていたら出来ないし・・・いずれにしてもそのうち先生にその辺の価値観を聞いておくべきだろう。まあ、先生のことだからしなくていいとか言われそうだけど・・・どうせなら先生のウェディングドレス姿を見てみたいものだとしみじみ思う。
「雅人も結婚式あげるならちゃんと呼んでよ?」
「おう!まあ、その前に俺が本気で好きになれる奴がいるかどうかが疑問だけどな」
なんともイケメンらしい悩みだが、親友としてそのうちいい人が見つかることを切に願うのだった。