33 桜満開
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「これは・・・凄いですね」
思わずそんな感想が出てくる。辺り一面には満開の桜の花びら。今年は早咲きだったので地元ではすでに散りはじめているので、こんなに綺麗な桜を見るのは久しぶりかもしれない。
「わぁ・・・きれい」
「だろ?知り合いに聞いたからここが丁度見頃だって聞いてな」
目をキラキラさせる千鶴ちゃんと俺を見て、満足そうに頷く先生。
「それにしてもお花見とは思いませんでした」
「そうか?時期的には間違ってないだろ?」
「いえ、遥香さん今日弁当はいらないって言ってたので」
こういうアウトドア的なイベントなら、弁当あった方が楽なのでそう言うと、遥香さんは笑いながら言った。
「まあ、この辺には屋台が多いからな。買って食べればいいさ」
「でも、遥香さん車だから、お酒は飲めませんよ?いいんですか?」
「おいおい、家族サービスに酒を持ち込むことはしないさ。それに酒は夜って、私の中ではそういうルールだからな」
「思いの外常識的で嬉しいですよ・・・っと」
俺は舞ってきた桜の花びらをキャッチする。手の風圧で舞い上がらないように丁寧に掴むと、それを千鶴ちゃんに手渡した。
「はい、千鶴ちゃん。桜の花びら」
「・・・いいの?」
「もちろん。さっきから欲しそうにしていたようだからね」
千鶴ちゃんは、先程から桜の花びらをキャッチしようとして失敗を繰り返していたので、代わりに渡したが・・・余計なお世話だったかな?と思っていると、千鶴ちゃんは受け取ってから嬉しそうに微笑んだ。
「・・・ありがとう!」
「どういたしまして」
今朝のアニメの話以降、前より距離感が近くなったような気がする。その距離はまだまだ目指す頂きには遠いかもしれないが、確実に近づいている。
そんな俺と千鶴ちゃんの様子を微笑ましく見ていた先生はふと、何かに気づいたように、俺へと手を伸ばしてきた。
「遥香さん?あの・・・」
「動くな」
そう言われては下手に動くことはできないので、しばらくじっとしていると、やがて先生の手が俺の頭に触れて離れていった。
「花びらついてたぞ」
見れば先生の手には、桜の花びらが一枚あった。
「ありがとうございます。それ頂けますか?」
「構わんが・・・これどうするつもりだ?」
「押し花栞にしようかと。せっかく綺麗な花びらですし、遥香さんと千鶴ちゃんと出掛けた記念にしようかと」
そう言うと後ろから袖をひかれて、見れば、千鶴ちゃんがわくわくしたような表情で言った。
「ちーも、しおりつくってみたい!」
「いいよ。じゃあ、帰ったら作ろうか」
「うん!」
「それなら私にも作ってくれよな」
「もちろんです。3人の記念の品ですから」
そんな風に3人で話すと、前よりも家族という雰囲気が近くなったような気がして嬉しかった。