286 お酒のつまみに
おつまみ
「お、今日のつまみは焼き鳥か」
「ええ、湯豆腐と悩んでこっちにしました」
最近寒いし、温かいものがいいと思ったので用意したのだが、嬉しそうに食べてくれているので何よりだ。
「そういえば、ラブレターはちゃんと断ったんだよな?」
「はい。もちろん」
「ん、そうか。ならいい」
まあ、あの子が求めていたのは俺ではなく俺の女装姿なのだが・・・残念ながらそれに応えることは出来ないけどね。
そうして答えると上機嫌なのか珍しくお酒のペースが早い先生。あんまり飲みすぎないように気をつけようと思いながらお代わりを注ぐと先生は嬉しそうに言った。
「相変わらず、私の欲しいタイミングでやってくれるな」
「そうですか?でも、あんまり飲みすぎちゃダメですからね」
「わかってるって」
そう笑って飲んでいるので、まあ、楽しそうで何よりだ。
「そういや、お前もあと2年で飲めるのか・・・」
「タバコもですね。まあ、お酒はともかくタバコは吸いませんが」
「そうだな。私もたまにしか吸わないがメリットないからな」
「メリット・・・というより、千鶴ちゃんにも悪影響与えそうなので嫌なんですよね」
副流煙もだが、タバコって臭いがキツイからね。衣服に染み付くのも本当に早いし、千鶴ちゃんの今後を考えると絶対に接触は避けるべきだろう。あと、値上がりしてて高いしね。
「まあ、そういう意味じゃ、酒もだがな」
「ええ。ただ、遥香さんと一緒に飲むのは楽しみにしてます」
まあ、とはいえ先生ほどのペースでは飲まないだろうけど。遺伝的にはそんなに弱くはなさそうだけど、意識飛ぶほど飲んで人生終わらせたくはないし、ちゃんとセーブはする。何よりあんまりお酒臭くして千鶴ちゃんに嫌がれるのも嫌だしね。
「それは私も楽しみだ。・・・ちなみに、お前は私から酒の臭いが強くてもキス出来るか?」
「ええ。出来ますよ」
そう言ってからササッと、キスをする。何度かやったので慣れてきたのだが、それでもこういう切っ掛けがないとなかなか出来ないし、いいチャンスだろう。
「・・・まさか、本当にやるとはな」
「ダメでしたか?」
「いや、構わないんだが・・・お世辞にもいい匂いではないだろう」
「そんなの関係ありませんよ。どんな遥香さんでも、俺にとっては愛しい遥香さんですから」
好きな人の全部が好きというのは当たり前のことだろうと思いそう言うと先生はちょっと顔を赤くしてから笑みを浮かべて言った。
「本当にお前は、私の欲しいタイミングで色々やってくれるよ」
「・・・?ありがとうございます」
なんのことかはよくわからないけど、ご機嫌そうで何よりだ。




