284.5 告白の結末
健斗がラブレターを貰ったと聞いてから遥香は内心、不安でもあった。健斗のことを信じてはいても怖いものは怖いのだ。
(それにしても、初ラブレターを奪われるとは・・・不覚)
まあ、今更そんなもの必要ないだろうから考えもしなかったが、まだそんな初めてが残っていたとは思わなかったのだ。婚姻届をラブレター風に渡すことは出来たかもしれないが、なんかそれだと重すぎると流石に自重したのだ。
気になって授業に集中出来ないなんてヘマはしないが、それでも気になった遥香は健斗から聞いていた待ち合わせの場所に放課後通りかかるように聞き耳を立てることにした。が。
(なんなんだこれは・・・)
女子生徒が惚れたのは健斗の女装姿。そして、その女子生徒は同性を好むようで、結果的には男の方の健斗には何の想いもなさそうでホッとするが・・・女装健斗を奪われるのも少しむっとするなぁと思っていると健斗は言った。
「俺にはね、大切な恋人がいるんだ。女装とはいえ君とデートしたらその人凄く傷つくと思うんだ。それに、俺の全てはその人のものだからね。他の人には渡せないんだ。ごめんね」
明らかにおかしい内容でも、そこに想いがあるとわかったからか、健斗は真摯にそう答えていた。
(あぁ、もう・・・今すぐ抱きしめて押し倒したいなぁ、ちくしょう!)
なんでそんなに愛しいことばかり言うのだろうかと遥香は必死になって己を抑える。あと数ヶ月の辛抱がたまらなく遠く感じるが、この時間も楽しむべきなのだろう。
まあ、多分学校じゃなかったらキスをしていたかもしれない。普段は千鶴もいるので不用意にしないように気をつけてはいるが・・・うっかりとした拍子にしそうになるのが怖い。
それぐらい健斗のことが大好きで、それくらい健斗に触れていたいのだ。下手したら健斗を監禁して一日中愛でたいくらいだが・・・
(いやいや、いくらなんでもそれはダメだ)
遥香は仕事にやり甲斐を感じてるし、健斗が万が一そんなことをしても許してくれそうだとは思うけど・・・それでも、母親としての遥香が千鶴からあまり離しすぎない方がいいと囁いていた。
(ちーちゃんも、健斗に依存してるからなぁ)
1人の女として独占欲はもちろんあるが、可愛い娘のこともちゃんと考えてるのだ。まあ、そんなことをお見通しなのか、自分から2人に接してくれる健斗という存在は遥香と千鶴にとってもはやなくてはならない存在なのだが・・・そんなことはさておき、告白が何事もなく終わってホッとしつつ、さっきの健斗の台詞にニヤつく顔をなんとかしないといけないと必死に隠すのだった。




