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31 出掛けよう

日曜日はお出掛け



「んあ・・・なんだまだ夢見てるのか?」


そんな声に振り替えると先生が驚いたような表情をしてこちらを見ていた。なんだか珍しいその表情の先生に俺は笑顔で答えた。


「おはようございます遥香さん。コーヒー飲みますか?」

「あ、ああ・・・」

「わかりました。じゃあ、すぐに淹れますね。千鶴ちゃんはパンのおかわりいる?」

「・・・だいじょうぶ」


隣でパンを食べながら答える千鶴ちゃん。そう俺の隣で普通に朝ごはんを食べながら千鶴ちゃんはテレビを見ているのだ。その程度のことと思われるかもしれないけど、俺には大きな進歩だ。何しろ前みたいにおどおどびくびくが消えたのは心が軽くなる思いだ。


コーヒーを淹れに台所に行くと先生は俺に近づいてきてこっそりと聞いてきた。


「一体どんな手品を使ったんだ?」

「アニメの話で盛り上がりまして、少しだけ距離が近くなりました」

「アニメ・・・なるほどな。私はちーちゃんの見てるのがわからないから話しようがないしな」

「ああ、だからあんなに楽しそうに話していたんですね」


千鶴ちゃんが俺相手でもあそこまで楽しく話せたのは、ひとえに話せる人間が少ないことも影響してるのだろう。友達だけだと話し足りない分を親で補完できればいいのだろうが、多忙な先生がその手の情報を得る機会は少ないだろうから、俺と話した時にあれだけ嬉しそうな表情をしていたのだろう。


「そうか、少しは安心した。なら、今日の外出も問題なさそうだな」

「・・・はい?あの聞き間違いでしょうか?『外出』って聞こえたような・・・」

「ん?言ってなかったか?今日は三人で出掛けるつもりでいたんだ」

「初耳ですが・・・お弁当必要ですか?」

「たまには外食でもいいだろう。何か食べたいものあるか?」

「いやいや、流石に奢ってもらうわけには・・・」


男のプライドとかではなく単に申し訳ないのでそう言うと先生は笑いながら答えた。


「たまには大人にいい格好させろって。いつもご飯作ってもらってる礼だ」

「それだって食費貰ってますし、好きでやってることですから」

「たっく・・・意外と強情だな。なら・・・」


そう言ってから先生は俺を壁に追いやってから両手で逃げ場をふさいでから俺の目を見て言った。


「受け入れろ。命令だ」

「・・・はぁ、遥香さんは本当に卑怯ですよね」


こうして強制されると断れないことを見抜いている先生に俺はそう言うと先生は笑いながら答えたら。


「卑怯、汚いは大人にとっては褒め言葉だ」

「千鶴ちゃんの教育に悪いのでそんなこと千鶴ちゃんの前では言っちゃダメですよ?」

「わかってる。それで何か食べたいものあるか?」

「お二人にお任せします・・・」


そんな会話をしてるのを千鶴ちゃんに聞かれてなかったのだけは良かったかもしれないと思いながら俺はコーヒーを淹れるのだった。



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