284 カミングアウト
まさかのカミングアウト
「あ、あの、来ていただいてありがとうございます」
本当にドッキリであって欲しいなぁと思いながら放課後に待ち合わせの場所に行くと、普通にラブレターの主っぽい女子がいた。ポニーテールの可愛い系の女子なのだが・・・なんだろう。どこか見覚えがあるんだよねぇ。
流石に気のせいだよね。うん。
そう判断して俺は聞いた。
「えっと、君があの手紙の・・・」
「あ、はい。2年の百瀬百合です」
「そっか。それで、返事なんだけどーーー」
「いえ、わかってます。お返事は結構です。ただ、先輩にお願いしたくて・・・」
「お願い?」
というか、わかってるって何を?
「あの・・・1度でいいので、先輩にデートして欲しいんです」
「えっと・・・」
「女装で」
・・・んん?
「ごめん、今なんて?」
「女装して私とデートしてください。それで綺麗に諦められますから」
「えっと、何故女装?」
「私、実はレズなんです」
とんでもないカミングアウトされてしまった。
「今までは女の子と付き合ってきたんですが・・・文化祭の先輩の女装に物凄くトキメイてしまったんです」
なるほど・・・あの黒歴史の方だったか。というか、こんなに嬉しくない告白もそうそうないな。
「でも、先輩は男の人だし、あの姿にはそうそうならないはず。だから、1度だけデートして諦めさせてください」
「・・・そっか。期待に添えなくて申し訳ないけど、その願いには応えられないかな」
「どうしてですか?」
まあ、女装が嫌なのも当然あるのだが・・・
「俺にはね、大切な恋人がいるだ。女装とはいえ君とデートしたらその人凄く傷つくと思うんだ。それに、俺の全てはその人のものだからね。他の人には渡せないんだ。ごめんね」
まあ、この子の言動が色々おかしいような気はするが、それでも、本気でそう思ってくれたのなら、後腐れないようにちゃんと本音を伝えるべきだろう。
そう思って断ると、百瀬さんは少しだけ残念そうに言った。
「わかってましたが、やっぱりダメでしたか」
「さっきもだけど、わかってたの?」
「はい。禁断の恋を愛する者としてなんとなく気づいてます」
その言葉にちょっとだけ怖くなるが、核心には触れてないので、セーフのはず。
「あ、ご安心を。誰にも言いません。ただ、心変わりしたら遠慮なく言ってください。女装でならデートに付き合いますので」
どっちが告白したのかわからないような台詞だけど・・・まあ、ひとまず円満に解決したってことでよしとするか。まあ、まさか女装姿に惚れた女の子がいるとは本当に予想出来なかったけどさ。
そんな感じでラブレターを巡る騒動は呆気なく終わったのだった。




