283 きちんと断ります
断りますよ
「なるほど・・・ラブレターねぇ」
昼休み、時間を貰って人気のないところで報告すると、あからさまに不機嫌そうな表情を浮かべる先生。まあ、想定内だ。
「それで?相手はわかるのか?」
「名前だけは書かれてました。百瀬って女子からだと思います」
「・・・すくなくとも、私が受け持ってない生徒だな」
俺も知らないはずなのだが・・・なんだか、ここ最近聞いた名前のような気もするんだよねぇ。気のせいかな?まあ、似たような苗字ならいるだろうし、多分気のせいだろうけど。
「しかし、わざわざ報告するとは律儀だな」
「隠した方が遥香さんに不安を与えそうなので当然です。相手には申し訳ないですが、ちゃんと断りますし」
「まあ、信じてはいるが・・・お前が私より若い女に告白されて絆されないか少し不安だと言ったら面倒に思うか?」
そんなことを聞いてくるので俺は苦笑してから言った。
「まさか。むしろ、可愛い嫉妬に嬉しくなります」
「・・・健斗が私のものだとアピール出来ないのがこれだけ悔しいのは久しぶりかもしれないな」
「証ならちゃんとここにありますよ」
そう言いながら首から下げている婚約指輪を見せる。
「これがあるから、少なくとも俺は少しだけ安心してます。離れてる時間も2人の証がちゃんとあることに」
「そうかもな。なあ、健斗」
「なんですか?」
しばらく黙り込んでから、先生は意を決したように言った。
「お前は・・・何があっても、私とちーちゃんの側にいてくれるよな?」
「ええ、必ず。遥香さんと同じ墓で眠るのが目標の1つですから」
「骨を埋める覚悟なのはわかったよ」
まあ、その前に千鶴ちゃんやこれから産まれるかもしれない子供達が自立して幸せになってから、孫の顔を見せてくれるまでは死にたくないが。それでも、死ぬ時はこの人と一緒の墓にいようと強く思う。
子供か・・・そう遠くないうちにもっと具体的に考えなきゃいけないことかもな。俺が子供作れない体質でないことを切に願っている。経験ないから知らんけど。まあ、仮に無理でも千鶴ちゃんという可愛い娘はいるし、そこまで後悔はない。
それでも、子供が多いに越したことはないとも思う。育てるのは大変かもしれないけど、その分娘や息子を可愛がれるのは本当に素敵なことだしね。
とにかく・・・
「絶対に遥香さんと千鶴ちゃんを悲しませはしません。だから・・・信じてください」
「ああ、ありがとう健斗」
そう言ってひとまず納得させるけど、帰ってからケアしないとなぁ・・・ひとまずは告白断ってこないと。




