282 ラブレター
ハプニングイベント?
「これは・・・困ったなぁ」
翌日、登校してから早々に下駄箱でため息をついてしまう。今時本当にやる人がいるのだろうかと言われそうなくらいベターな可愛い便箋とハート型のシールの貼られたラブレターらしきものが入っていたのだ。
まあ、ここまでなら別に騒ぐことではない。
中学時代、雅人宛のものをが入り切らなくて俺のところに入れる輩もいたし、俺を経由して渡させようとする輩もいたからだ。だが、高校生になってからその手の輩は激減したし、今回は残念ながら宛名として俺の名前が書かれていたのだ。
とりあえず、人目の少ないところに移動してから中身を読む。
「どうか吉澤辺りのドッキリでありますように・・・」
そう切に願って中身に目を通してからーーー思わず天を仰いだ。
綺麗な丸文字で、しかも雅人宛の中身と同じくらい気持ちのこもってそうな中身。女子が協力したドッキリとかの線はまだあるけど・・・
「本当に困ったなぁ・・・ドッキリか罰ゲームだと本当にありがたいけど、最悪の想定もしないとなぁ」
もし、本当に俺へのラブレターだったなら、後で先生のフォローするのと、断るために時間を割かねばならないということになる。
好意を向けてくれるのはありがたいけど、それに答えることは出来ないし、何より一時でも俺なんかに好意を向けるなんて時間の無駄でしかないので、ちゃんと断ろうと思う。
「遥香さんまた拗ねそうだなぁ・・・まあ、可愛いからいいけど」
やっぱり文化祭でバンドして目立ちすぎたからなぁ・・・女装でも目立ってたというのはスルーで。軽い黒歴史だから。
「とにかく、隠さずにちゃんと話して・・・あとはこの事が他人に漏れないようにして、なるべくダメージ低く断ろう」
人生初のラブレターなのにこんなに胃が痛いのはなんでだろう。別に差出人にはなんの落ち度もないけど、とにかくこれをなかったことにしたいくらいだ。
無駄に先生を不安にさせたくないし、残り少ない高校生活を無難に過ごしたい俺としては本気でそう思う。
あと、出来れば差出人にとって初恋ではありませんように・・・まあ、流石にこの歳なら初恋って方が少ないだろうけど。ちなみに私は先生が初恋です。ええ、遅れますが何か?
だって、先生みたいな素敵な女性に出会っちゃったら、もう絶対恋に落ちるしかないでしょ。しかも可愛い娘までいるなんて本当に最高すぎる。まあ、その前に雅人という親友を見てたから恋愛というものに慎重になりすぎていたというのも否定できないが。




