250 初めての風邪
ひいちゃいました
「けほけほ」
咳をする千鶴ちゃんを、心配そうに見ている先生の横で、体温計を確認する。帰ってきてから体調が悪そうだったので不安だったが、案の定こうなってしまったか。
「38度・・・風邪でしょうかね。今日は保育園はお休みさせましょう」
「だ、大丈夫なのか?何か他に大きな病気とかの可能性もあるが」
「発熱と咳以外に目立った症状はなさそうですし、多分大丈夫ですよ。念の為病院に行ってきますが、後は俺がやりますから、遥香さんは安心してください」
そう言ってから千鶴ちゃんの頭を撫でていると先生は少しだけ驚いたように言った。
「なんというか・・・落ち着いてるな」
「そうですか?」
「こういう時、真っ先に心配して動揺しそうだと、思ってたからな」
まあ、それもそうなんだけど。
「もちろん心配ですけど、治らない病気じゃないなら大丈夫です。それに、俺よりも本人が辛いのに、俺が動揺するわけにはいきませんから」
「・・・そうか。そうだな」
「はい。ですから安心してお仕事に集中してください。今日は俺も学校休んで看病するんで大丈夫ですよ」
近くの小児科まで抱っこして連れていくことは出来るが・・・本当なら車で行けたら千鶴ちゃんの負担も少ないだろうにと少しだけ悔しくもある。
海斗の時は今より小児科近くにあったし、海斗自身も体力には自信があったからなぁ。
「千鶴ちゃん。もう少しだけ我慢出来る?」
「・・・うん。だいじょうぶだよ」
にっこりと微笑む健気な千鶴ちゃんの姿に思わず頭を撫でてから診察時間を確認して早めに行けるように準備を進める。
「すまないな。本当なら私が連れてくべきなのに」
「仕方ないですよ。お仕事があるんですから。それにこれは俺の仕事ですから。遥香さんは千鶴ちゃんが元気になったら、甘えさせてあげてください」
「・・・ああ。わかっているよ。じゃあ行ってくるが・・・何かあったら直ぐに知らせてくれ」
「わかってますよ。行ってらっしゃい」
「行ってくる」
そう言ってから出掛けていく先生を見送ってから、受付時間に電話をかける。馴染みだった小児科なので特に苦労することもなく受付を済ませてから、千鶴ちゃんを厚着させて小児科を目指して千鶴ちゃんを抱っこしながら出かける。
「千鶴ちゃん。寒くない?」
「うん・・・」
「そっか。寒かったらすぐに言ってね」
いつもより少しだけ重いけど大した重量ではないので、千鶴ちゃんの負担にならないように慎重に歩く。しかし、風邪かぁ・・・自分が最後にかかったのもこれくらいの時だっただろうか?そんなことを思いながら早々に小児科に向かうのだった。




