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235 取り引き

設定だけになりそうで怖いw

「私と先生が付き合い始めたのは、高2の時でした」


思い出すように、須藤さんは語り始める。


「今でも覚えてます。私の熱烈な告白に、何度も断ってきた先生が、膝を折ったことを」


うっとりとそんなことを言うので、少し微妙な気持ちでいると、須藤さんは言った。


「先生は私のことを未だに抱いてません。キス以上のことまではしてないので、本当に清い交際なんです。同棲し始めたのはつい最近のことです。先生が浮気しないように家族にも合わせましたし、会いました」

「・・・それはそれは、ラブラブなことで」

「ふふ、巽さんも、似たようなものじゃありませんか?」


ハッキリとそんなことを言う須藤さんの瞳はまるで同胞を見つけたように穏やかなものだった。そして、写真まで見せられたので、俺は少しだけ彼女のことを信じそうになっていた。


まあ、それでももちろん大切な部分は伏せておくが。


「ねぇ、巽さん。今日は私と同じように、友達の顔を立てるために、渋々参加したのですよね?」

「まあ、そうだけど・・・」

「でしたら、1つお互いに、メリットのある取り引きをしませんか?」


取り引き?


「会ったばかりの俺に、何を求めるのやら」

「簡単です。付き合ってるフリをして欲しいのです」

「・・・それは、恋人のフリをしろということかな?」

「ええ、あ、わかってるとは思いますが、もちろんフリです。それらしいLINEのやり取りをするだけで、後は別に何もしなくていいです。私も先生との時間が欲しいので」


さっぱりとそんなことを言われるので、むしろ清々しく思いながら、俺は言った。


「フリとはいえ、好きな相手以外と、そんなやり取りはしたくないんだけど?」

「ええ、私もです。でもああいう余計な横槍は本当にウザイので、私も虫除けが欲しいのです。あと、先生が少し嫉妬する顔を見たいので」


最後のやつが本心のようか気はするが・・・


「・・・そんなに俺を信じていいの?俺はまだ、君を疑ってるのに」

「ええ、それくらいの方がいいです。変に馴れ合って、お互いに想いが募るようなことはなくしたいですから。ぶっちゃけ、私は先生以外の男性が嫌いです。巽さんは同士だからまだ平気ですが、嫌悪感がないわけじゃないので」


同じかもしれない。俺も先生と千鶴ちゃん以外には、似たような感じだから。


「・・・少し考えさせてくれ」

「ええ、じっくり考えてください。あと半年ばかりの付き合いになりそうですが、それでも、せっかく会えた同士ですから」


俺からは何一つ情報は開示せずに、一方的に聞いてただけだが、それでも1度整理したいので、持ち帰ることにした。まあ、話してて思ったのは、それなりに信用できそうということだ。



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