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232 婚約者の噂

「なあなあ、知ってるか」

「何が?」


先生の授業が終わってから、前に座っていた吉崎が思い出したように言った。


「担任の黒羽って、婚約者いるらしいぞ」

「へー、そうなんだ」


だから何と言わんばかりの態度を取ると、吉崎はそれに不思議そうに言った。


「勿体ないよなぁ、子持ちで婚約者ありとか。人生損してそう」


その言葉にキレそうになりつつも、冷静を保つ。こいつには話すわけにはいかないのだ。


「黒羽狙いの奴も、皆この話で絶望してたぜ。道理で男が近づかないわけだよなぁ」

「そうなんだね」

「お前って、本当にこの手の話に興味無いよなぁ。青春してるのか?まあ、彼女もいないんじゃしようもないだろうが」


まあ、俺がその婚約者なのだが。そんなことは言わずに俺は言った。


「まあ、黒羽先生にもプライベートあるだろうし、詮索する気はないよ。俺は俺で、やることあるし」

「そうなのか?あ、だったらせっかくだし、合コン行かないか?」

「いや、なんでさ」


やることあると言ったのに、何故そうなる。


「いいじゃん、いいじゃん。どうせ今日は半日だし時間あるだろ?」

「いや、やることあるんだけど・・・」

「丁度メンバー足りないんだ。参加するだけでいいからさ、頼むよ」


何故俺がそんなことをしなければならないのか。うん、普通に面倒だしそもそも先生以外の女性をそういう対象として見たくないので普通に嫌だ。


「頼むって!この通り!」

「無理なものは無理だって、というか、雅人とかを誘えば?」

「アイツが来ると、俺が目立たないから嫌だ」


なんとも清々しい理由だが、確かに雅人が行くと女子は全員雅人狙いになるよな。


「1時間だけでいいから、気に入らなければすぐに帰ってもいいから頼む!その分なんでも奢るから!」

「うーん・・・」


いつになく真剣に頼み込む吉崎。とはいえそういう場所に行ったという事実は2人を不安にしてしまいかねない。だから絶対に行くべきじゃないが・・・むしろ、ここでぶち壊しておいて後から誘うのを躊躇うようにすれば面倒事は減るか?


「なら、一つだけ条件。こういうのはこれっきりにして。あと何があっても、俺は知らないからね」

「わかってるって、ありがとうな!」


即座に帰るとしよう。うん、それで吉崎からのしつこい誘いがなくなるなら、それに越したことはない。2人には心配かけてしまうかもしれないが・・・それは、俺がきちんとフォローして、絶対に負担をかけないようにしよう。


そもそも、俺は先生と千鶴ちゃん関係以外で、そこまで親しくしたいとも思わないしね。吉崎には悪いが、早めに切り上げて、さっさと2人のために時間を使おう。


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