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221 娘の活躍

活躍

「いけいけ!誠也!いいぞ!」


・・・わかっていたことだが、失敗した。いや、こういう運動会ならではの空気は好きだけど、明らかに騒音になってるきよぽん。というか、こんなに声大きかったっけ?


そろり、そろりと距離を取る。少しでも静かになるのを祈るのと千鶴ちゃんの応援に集中したいので、そうするとガシッときよぽんに掴まれた。


「健斗くん、ほら!誠也めっちゃ速いでしょ!」

「うん、それはいいけど、きよぽん興奮しすぎ。もう少しだけ抑えてくれるかな?」

「え?あ・・・」


その言葉で白熱していたのがわかったのか、申し訳なさそうにするきよぽん。これで千鶴ちゃんの応援に集中出来ると千鶴ちゃんを見ると、次の競技のために既に準備に入っていた。


次の競技は玉入れだ。なんとも懐かしいものだが、保育園のやつは知ってるものよりも遥かに小さく作られているので、可愛いものだ。


ふと、こちらに視線が向くと嬉しそうに手を振ってくるのでそれに笑顔で返すとそれを見ていたきよぽんは不思議そうに言った。


「健斗くんなんというか、兄というよりお父さんみたいだね。変に落ち着いてるというか・・・」

「そうかな?」

「そこいらのお父さんよりもお父さんっぽい。いや、でも健斗くんて確か凄く料理も上手くてお母さんみたいな母性もあったよね」


うん、皆してそんな認識なのね。お父さんは嬉しいけど。


「それではよーい。スタート!」


そんな会話をしてるといつの間にか千鶴ちゃんの出てる玉入れが始まっていた。懸命に皆で赤白の柔らかそうな玉を投げ入れるが、やはりまだまだ子供なので入らないものも多い。


特に女の子はそれが目立つが、それも可愛いものだと微笑ましくなる。一生懸命になにかをする人間というのは、やはり見ていて気持ちいいものだ。


「千鶴ちゃん、頑張れー!」


まあ、とはいえ俺が見ているのは千鶴ちゃんだけだが。懸命に投げて入ってから顔を輝かせる千鶴ちゃんにほっこりしながら応援を送る。もちろんビデオの準備には抜かりない。


ちなみに、今回運動会は赤組と白組に別れているのだが、千鶴ちゃんは赤組。きよぽんの弟の誠也くんは白組だそうだ。千鶴ちゃんの友達の多くは同じ組らしいので、まあ、そこは問題ないだろう。


少し前はこの競争自体が問題視されていたりしたが、やはりスポーツとして子供に勝ち負けを教えることは間違ってないと思う。というか、そんな世の中にしてしまった俺たち大人の落ち度だろうとも思う。


まあ、高校生のガキが語ることじゃないから、深くは言わないが。


一瞬だけそんなことを考えつつも俺は純粋に千鶴ちゃんの応援をしながらデータにその勇姿を残すのだった。






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