215.5 スイスイ様の活躍
「あ、姉さん。こっちだよー」
待ち合わせの場所に着くと先に来ていた瑠美にそう声をかけられる遥香。千鶴と一緒に店内の瑠美のいる席に向かうとそのまま対面に座ってから聞いた。
「瑞穂は?」
「残念ながら今日は無理そうだねー。あ、でもちゃんと約束の物は持ってきたからねぇ」
「ならいいが・・・」
「ちーちゃん、久しぶりだねぇ」
楽しげに千鶴に話しかける瑠美。そんな瑠美に千鶴は頷いて言った。
「るみおばちゃん、こんにちは」
「うんうん、素直に挨拶出来て偉い偉い。そういえば今日は健斗くんは留守番にしてきたの?」
「まあな。流石に本人の前で受けとるわけにはいかないしな」
「そっかぁ。じゃあ、先にちーちゃんにこれを渡そうかなぁ」
そう言いながら瑠美は持ってきた千鶴の誕生日プレゼントを渡してから言った。
「遅くなったけど、誕生日おめでとう。ちーちゃん」
「ありがとう!あけてもいい?」
「もちろんだよ」
そう言われてからプレゼントの包装を開けてから千鶴はパアッと顔を輝かせて言った。
「ぷにきゅあの、へんしんいしょうだぁ」
「ちーちゃんが最近これにハマってるって、健斗くんに聞いたからねぇ」
「というか、お前健斗とそんなに話してるのか?」
「たまにだよ。だからそんなに嫉妬しなくても大丈夫だよー」
それでも遥香としては微妙に複雑な気持ちになってしまうのだが、そんな姉の嫉妬に苦笑してから瑠美は今日の本題に入るために封筒を渡した。
「これが約束の品だよー。それとスイスイがまた今度会おうって言ってたよー」
「あぁ、ありがとう」
渡された封筒を開けると中には何枚もの写真と一応の保険としてSDカードが入っていた。データはこの場では見れないので写真を見ると、そこにはコスプレで女装して写真を撮られている健斗が何枚かと、健斗の友人の雅人と男同士で抱き合っている写真が若干混ざっていた。
「・・・可愛いな」
「だよねぇ。健斗くん、女装の才能あるよねぇ」
「まあ、中条とのこの写真に関しては少しだけイラッとくるが」
「ありゃ、そうなの?」
「当たり前だ。健斗は私のものだからな」
迷わずそんなことを言う姉に瑠美は少しだけ苦笑してから言った。
「ラブラブで何よりだよー。そういえば来月の文化祭は、健斗くんのお父さんとも一緒に回るかもしれない」
「お義父さんと?面識あったのか?」
「一応ね。恵さん本当に女性にしか見えないから、回るには都合良さそうだしねぇ」
「まあ、それはいいが・・・色々と気をつけてくれよな」
「わかってるって」
そう笑う妹に遥香も少しだけ苦笑してから少しだけ世間話(主にノロケ)をするのだった。




