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198 例え何を言われても

変わらない気持ち


「あらら、千鶴ちゃん寝ちゃってますね」


お風呂から上がってロビーで先生達を待っていた俺だったのだが、やってきた先生は寝ている千鶴ちゃんを抱えていたのだった。千鶴ちゃんを引き取ると先生は微笑ましそうに千鶴ちゃんを見てから言った。


「色々はしゃいでいたからな。風呂でも少しだけ眠そうにしていたが、髪の毛を乾かす間に寝ちゃったよ」

「そうでしたか」


俺は寝ている千鶴ちゃんを優しく抱き上げると、それを近くで見ていた朝比奈さんが笑顔で言った。


「そうしてると、どっちが母親かわからないね」

「うるさい」


楽しそうに笑う朝比奈さんに俺は思い出したように言った。


「そういえば、朝比奈さんもやっぱり一緒だったんですね」

「やっぱり?」

「さっき旦那さんの久木さんと一緒になったのでもしかしたらと思いまして」

「あら?会ったんだ。旦那とは仲良くなれそう?」


そう聞かれたので俺は素直に答えた。


「とても、フレンドリーで奥さん想いの方ですね」

「そう?」

「ええ、朝比奈さんのことを嬉しそうに話してくださったのがその証拠です」

「まあ、旦那とはかなり色々あったからね」


おおよその話しか聞いてないが、何やら訳ありの久木さんの心を解きほぐしたのが朝比奈さんだということだ。心から幸せそうに語るのでみてるこっちも嬉しくなるのだった。


「さて、じゃあ邪魔者は退散しようかな」

「そうしてくれ。どのみちお前も旦那が待ってるんだろ?」

「うん、今夜は一段と甘えてきそうだねー」


そう言いながら立ち去ろとする前に、朝比奈さんは思い出したように俺に近づいてくると小声で言った。


「ねぇねぇ。一つ聞きたいんだけど、他の男との子供のその子・・・千鶴ちゃんだっけ?その子のこと本当の娘として愛せるの?」


千鶴ちゃんが寝てる側でする話ではないが、俺は迷うことなく答えていた。


「むしろ、そんなの関係ありませんから。血の繋がりが例えなくても千鶴ちゃんは俺の大切な娘です。例え誰が何を言おうと俺はこの子の父親ですから」


そうハッキリと答えると朝比奈さんはポカンとしてからくすり笑って言った。


「そんなこと言えるなんて君って本当に面白いね。遥香が好きになったの少しだけわかるよ」

「やらないぞ」


その言葉に朝比奈さんは苦笑してから言った。


「もちろんいらないよ。私には旦那がいるからね。それに・・・遥香みたいな奥さんとそこで幸せそうにしている小さなお姫様から奪えないよ」


そう笑ってからその場から立ち去る朝比奈さん。その言葉の意味はわからなかったが。何故か千鶴ちゃんが俺の胸に頭を擦り付けて、まるでさっきの言葉に嬉しそうにしているみたいに見えたのは気のせいだろう?


いや、寝てるはずだし気のせいだろう。うん。




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