196 夕飯と膝枕
ゆったり
「美味しかったですね」
先生が戻ってきてから部屋で夕飯を食べてからそう言うと先生は少しだけ首をすくめて言った。
「悪くはないが・・・やっぱりお前の料理が一番だな」
「ちーも、おにいちゃんのほうがすきー」
「そう言われると嬉しいよ」
流石に本物の料理人より美味しいとは思わないが二人の好みにあったなら嬉しい。
「そういえば、随分と早かったですけど朝比奈さんとはもう良かったんですか?」
「あぁ、お互いに色々話せたからな」
「それは良かったです」
「ところで、さっきの・・・旦那になったらあんな風に話してくれるのか?」
思わぬことを聞かれたので俺は返事に困ってから苦笑しながら言った。
「いえ、実は決めかねていて。年上だからってだけじゃなくて、まだ心の準備が出来ていないので」
「私が気にしなくてもか?」
「ええ。もう少し時間をください」
「なら仕方ないな」
そうして引き下がってから先生はこちらにやって来ると俺の隣に何故か座ってからいつものように横になって俺の膝枕で寛ぎ始めた。それを見てから千鶴ちゃんもこちらにやってきてもう片方に膝枕をして二人でわけあうのでいよいよもって動けなくなった。
「もう、食べてからすぐに寝るのはダメですよ」
「すぐに退くって」
「まったくもう・・・」
俺が拒否しないのを知っててやってるのだろう。あまり千鶴ちゃんの教育に悪いことはさせたくないが、まあ、せっかくの休みくらいは多めにみよう。
「ねぇねぇ、おにいちゃん」
「ん?どうしたの?」
「あのね、ちーおっきなおふろもいってみたい」
その言葉に少しだけ考えてしまう。ここの客層から言ってロリコンがいる確率はそう高くはないが、果たして男湯に入れていいものかと悩んでいると、先生が頷いてから言った。
「ちーちゃんは私が連れてくから大丈夫だ」
「いいんですか?」
「ちーちゃんが心配なのもそうだが、折角だ。お前も少しは寛げ」
「俺はいつでも楽しくてやってるのですが・・・」
別に休みなどはいらないのだ。むしろいつでも二人に尽くしていたいものだと思いながら言うと先生は苦笑して言った。
「なら、あれだ。母娘の時間てやつだよ」
「それなら仕方ないです」
たまには男の俺がいない方がいいときもあるのだろう。久しぶりの温泉だし二人には寛いで貰おうと思いながら、俺は膝枕のための正座を続けるのだった。ここ最近の成果でそこそこもつようにはなったが、それでもやはり二人同時なので少しだけきつくなりつつもその幸福を楽しむのだった。




